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団信に通らない人の住宅ローン5つの選択肢|ワイド団信・フラット35・ペアローンを比較

住宅ローンの審査で団体信用生命保険(団信)に通らなかった場合、「もうマイホームは無理なのか」と落ち込む方は少なくありません。しかし、団信に通らなくても住宅ローンを組む方法は複数存在します

本記事では、ワイド団信・フラット35(団信なし)・ペアローン・収入合算・再挑戦という5つの選択肢について、金利や条件の比較、選び方のポイント、そして具体的なステップを整理しました。まずは全体像をつかみ、自分に合ったルートを見つけるための判断材料にしてください。

この記事でわかること

  • 団信に通らない主な原因と、告知書の仕組み
  • ワイド団信を取り扱う主要銀行の金利上乗せ・年齢制限の比較
  • フラット35で団信なしにする場合のメリット・リスクと金利の目安
  • ペアローン・収入合算で配偶者に主債務者を変更する方法
  • 団信に通らなかった後の再挑戦ロードマップ

団信に通らないのはなぜ?主な原因と告知の仕組み

住宅ローンにおける団信の位置づけ

団体信用生命保険(団信)は、住宅ローンの返済中に契約者が死亡または高度障害状態になった場合、保険金で残債が完済される保険です。ほとんどの民間金融機関では団信加入を融資の条件としています。

国土交通省の「令和7年度 民間住宅ローンの実態に関する調査」によると、金融機関の96.1%が審査項目に「健康状態」を含めていると回答しています(出典:国土交通省 令和7年度調査 結果報告書(PDF))。つまり、健康上の理由で団信に入れないと、それだけで住宅ローン審査が通らないケースがほとんどです。

団信の告知書で聞かれる3つの質問

団信への加入時には「告知書」で健康状態を申告します。告知項目は保険会社により若干異なりますが、一般的には次の3点です。

団信の告知項目(一般的な例)

  • 質問1:最近3か月以内に、医師の治療・投薬・指導を受けたことがあるか
  • 質問2:過去3年以内に、所定の病気で手術・2週間以上の治療や投薬を受けたことがあるか
  • 質問3:手足の欠損・機能障害、背骨や視力・聴力・言語・そしゃく機能の障害があるか

質問2の「所定の病気」には、心疾患、脳血管疾患、精神疾患(うつ病・統合失調症など)、がん、糖尿病、肝炎、潰瘍性大腸炎といった疾患名が列挙されるのが通例です。「告知事項に該当する=即不合格」ではありませんが、治療中の病気や再発リスクの高い疾患があると審査が厳しくなります。

告知義務違反は絶対にNG

持病を隠して団信に加入した場合、後日発覚すると契約解除となり、保険金が支払われません。それだけでなく、金融機関から残債の一括返済を求められるリスクもあります。告知は必ず正直に行いましょう。

審査に通りにくい疾患の傾向

保険会社によって引受基準は異なりますが、一般的に団信審査が厳しくなりやすい疾患・状態の傾向を整理しておきます。

カテゴリ 具体的な疾患例 審査への影響
心疾患 心筋梗塞、狭心症、不整脈、心臓弁膜症 再発リスクが懸念され、一般団信では通りにくい
脳血管疾患 脳卒中、脳梗塞、くも膜下出血 後遺症の有無によって判断が分かれる
精神疾患 うつ病、統合失調症、適応障害、双極性障害 再発率の高さから、一般団信・ワイド団信ともに厳しい傾向
がん 各種のがん(悪性新生物) 寛解後も一定期間は審査に通りにくい
代謝・内分泌疾患 糖尿病(合併症あり)、甲状腺機能障害 コントロール状態によって結果が変わる
肝臓疾患 B型・C型肝炎、肝硬変 肝硬変は特に厳しい。肝炎はワイド団信で引受の可能性あり

※上記はあくまで傾向です。保険会社によって基準は異なり、同じ疾患でも状態や経過によって結果は変わります。

団信に通らない場合の5つの選択肢

団信に通らなかった場合でも、マイホーム取得を諦める必要はありません。ここでは代表的な5つのルートを紹介します。

選択肢①:ワイド団信に申し込む

ワイド団信は、一般団信よりも引受条件を緩和した団信です。持病や治療歴があっても、ワイド団信なら加入できる場合があります。保障内容(死亡・高度障害保障)は一般団信と同等ですが、金利が年0.2〜0.3%程度上乗せされるのが一般的です。

ワイド団信で引受の可能性がある主な疾患

イオン銀行の公式サイトで公表されている例では、高血圧症、糖尿病(インスリン治療中を含む)、肝炎・脂肪肝、喘息・気管支炎、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、うつ病、子宮筋腫など幅広い疾患が引受対象の可能性として挙げられています(出典:イオン銀行 ワイド団信付住宅ローン)。

ただし、がん(悪性新生物)の治療中・経過観察中や、重度の精神疾患は、ワイド団信でも引き受けが難しいケースがあります。最終的な加入可否は保険会社の個別審査によるため、まずは申し込んでみることが重要です。

ワイド団信を検討するときのポイント

  • 引受保険会社が異なる銀行に複数申し込むと、片方で落ちてももう片方で通る可能性がある
  • 金利上乗せ分の総返済額への影響を事前にシミュレーションしておく
  • 加入時の年齢制限がある(50歳未満〜65歳未満など銀行により異なる)

選択肢②:フラット35を団信なしで利用する

住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する全期間固定金利の住宅ローン「フラット35」は、団信への加入が任意です。つまり、団信に入れない方でも住宅ローンを組むことが可能です。

団信に加入しない場合、フラット35の借入金利から年0.2%が差し引かれます(出典:住宅金融支援機構 FAQ)。2026年4月時点のフラット35(借入期間21〜35年・融資率9割以下)の最頻金利は年2.49%なので、団信なしの場合は年2.29%程度が目安となります。

団信なしの最大リスク:万が一のとき残債が家族に残る

団信に入らずに住宅ローンを組んだ場合、契約者が死亡しても保険金による残債の返済はありません。残された家族がローンの返済を引き継ぐか、物件を売却して返済に充てることになります。このリスクに備えて、民間の生命保険や収入保障保険で保障を確保しておくことが必須です。

フラット35には「フラット35S」や「子育てプラス」「中古プラス」など、一定の条件を満たすと当初5〜10年間の金利が引き下げられる制度があります。物件のスペックや家族構成によっては金利をさらに下げられる可能性があるので、あわせて確認しましょう(出典:住宅金融支援機構 フラット35S)。

選択肢③:ペアローンで健康な配偶者を主に活用する

ペアローンとは、夫婦がそれぞれ別の住宅ローン契約を結び、互いに連帯保証人となる方法です。夫婦それぞれの契約ごとに団信に加入するため、健康状態に問題がある方の借入割合を下げ、健康な配偶者の借入割合を増やすことで対応できる場合があります

ただし、団信に通らない方の借入分については依然として団信の問題が残ります。金融機関によってはワイド団信との組み合わせが可能なケースもあるため、個別に確認が必要です。

選択肢④:収入合算で配偶者を主債務者にする

収入合算(連帯保証型・連帯債務型)を活用し、健康な配偶者を主債務者としてローンを組む方法もあります。団信は主債務者に対して適用されるため、健康上の問題がない配偶者が主債務者になれば団信に加入できます。

ただし、連帯保証型の場合は連帯保証人側に住宅ローン控除が使えない、連帯債務型は取り扱い金融機関が限られるなどの制約があります。どの型が自分たちに合うかは、収入バランスやローン控除の活用方針を含めて検討しましょう。

選択肢⑤:治療を経て再挑戦する

団信の告知事項は、一般的に「過去3年以内」が対象期間です。告知対象の病気が完治し、治療終了から3年以上が経過すれば、告知の必要がなくなる場合があります。

物件の購入時期に余裕がある方や、頭金を貯めながら待てる方にとっては有力な選択肢です。ただし、その間に物件価格や金利が変動する可能性、加齢による保険条件の変化もあるため、「いつまでに何をするか」を明確にしておくことが大切です。

ワイド団信を取り扱う主要銀行の比較

ワイド団信はすべての金融機関で取り扱われているわけではなく、対応している銀行は限られます。以下に主要な取扱銀行の金利上乗せ・年齢制限・引受保険会社をまとめました。

金融機関 上乗せ金利 加入時年齢 完済時年齢 リビングニーズ特約 引受保険会社
auじぶん銀行 年+0.3% 65歳未満 80歳未満 あり ライフネット生命
住信SBIネット銀行 年+0.3% 65歳以下 80歳未満 あり SBI生命
PayPay銀行 年+0.3% 65歳未満 80歳未満 あり クレディ・アグリコル生命
りそな銀行 年+0.3% 50歳未満 80歳未満 あり クレディ・アグリコル生命
みずほ銀行 年+0.3% 51歳未満 80歳未満 なし クレディ・アグリコル生命
イオン銀行 年+0.3% 50歳未満 80歳未満 あり クレディ・アグリコル生命
ソニー銀行 年+0.2% 65歳未満 81歳未満 あり クレディ・アグリコル生命
ARUHI(フラット35) 年+0.3% 65歳以下 81歳未満 あり クレディ・アグリコル生命

※2026年4月時点の各社公式情報をもとに作成。最新の条件は各金融機関の公式サイトでご確認ください。引受保険会社が異なれば審査基準も異なるため、複数の銀行に申し込むことで通過の可能性が高まります。

比較のポイント

  • ソニー銀行は上乗せ金利が年+0.2%と他行より低い。総返済額で差が出るため要チェック
  • 引受保険会社が異なる銀行を選ぶのが鉄則。auじぶん銀行(ライフネット生命)とPayPay銀行(クレディ・アグリコル生命)を組み合わせると、審査基準の違いを活かせる
  • 年齢制限に注意。りそな銀行・イオン銀行は50歳未満が条件。50代の方はauじぶん銀行やソニー銀行など65歳未満まで対応する銀行を選ぶ

自分に合った選択肢はどれ?状況別の選び方

団信に通らなかった後の選択肢は、ご自身の健康状態、家族構成、購入時期の緊急度によって変わります。以下の分岐を参考に、優先順位を整理してみてください。

Aパターン:持病はあるが症状はコントロールできている

→ まずワイド団信を取り扱う銀行に複数申し込みましょう。引受保険会社が異なる銀行を2〜3社選ぶのがおすすめです。ワイド団信が通れば、民間変動金利の低金利のメリットを活かしながら団信保障も得られます。

Bパターン:ワイド団信にも通らない可能性が高い

フラット35(団信なし)が有力な選択肢です。ただし万が一の保障がなくなるため、並行して民間の生命保険(収入保障保険や定期保険など)の見直しを行い、家族への保障を確保してください。FP(ファイナンシャルプランナー)に相談すると、必要保障額の設計がスムーズです。

Cパターン:配偶者に安定収入がある

収入合算で配偶者を主債務者にするか、ペアローンで配偶者の借入割合を大きくする方法を検討しましょう。健康な配偶者が主債務者になれば、通常の団信に加入できます。

Dパターン:購入時期に余裕がある

→ 治療中の病気が完治する見込みがある場合は、完治から3年経過後に再挑戦するルートも検討に値します。その間に頭金を貯めれば、借入額を減らして返済負担を軽くすることもできます。

団信に通らなかった後の再挑戦ロードマップ

団信に通らなかった場合、すぐにあきらめるのではなく段階的に選択肢を試すことが大切です。以下のステップで進めましょう。

STEP 1

結果の振り返りと情報整理

まず、どの保険会社の審査で通らなかったのかを確認します。団信の審査結果は金融機関経由で通知されますが、「なぜ落ちたか」は教えてもらえません。告知書の記載内容と自身の病状を振り返り、次に試す手段を判断する材料を整理しましょう。

STEP 2

ワイド団信に申し込む(引受保険会社を変えて複数)

一般団信がダメだった場合、ワイド団信に切り替えて再トライします。前述の比較表を参考に、引受保険会社が異なる銀行を2〜3社選んで申し込みましょう。審査結果は1〜2週間程度で出ることが多いです。

STEP 3

フラット35(団信なし)+ 生命保険の設計

ワイド団信にも通らなかった場合は、フラット35を団信なしで利用する道を検討します。同時に、民間の生命保険で万が一の保障を確保します。必要保障額=ローン残債+遺族の生活費−遺族年金等、の計算が必要なので、FPへの相談がおすすめです。

STEP 4

配偶者の活用(収入合算・ペアローン)を検討

配偶者に安定収入がある場合、収入合算やペアローンで配偶者を主債務者にする方法を金融機関に相談します。この選択肢はSTEP 2〜3と並行して検討しても構いません。

STEP 5

治療と頭金準備を並行し、再挑戦の時期を決める

上記すべてが難しい場合は、治療に専念しつつ頭金を積み立て、完治から3年後を目安に再挑戦するプランを立てます。「いつまでに」「いくら貯めて」「どの銀行に申し込むか」を具体的にスケジュールに落とし込みましょう。

ワイド団信・フラット35(団信なし)の返済額シミュレーション

「金利が0.2〜0.3%上がると実際にどれくらい負担が増えるのか」は、多くの方が気になるポイントです。借入額3,500万円・35年返済の場合で比較してみましょう。

パターン 想定金利(年) 毎月返済額(概算) 総返済額(概算)
民間変動金利+一般団信 0.60% 約92,300円 約3,877万円
民間変動金利+ワイド団信(+0.3%) 0.90% 約96,800円 約4,066万円
フラット35(団信あり) 2.49% 約125,200円 約5,259万円
フラット35(団信なし・−0.2%) 2.29% 約121,700円 約5,111万円

※元利均等返済、ボーナス返済なし、2026年4月時点の代表的な金利水準をもとにした概算です。変動金利は将来の金利上昇により返済額が増える可能性があります。フラット35の金利は融資率9割以下・借入期間21〜35年の最頻金利を使用。実際の返済額は金融機関の条件によって異なります。

ワイド団信(+0.3%)を利用した場合、一般団信と比べて毎月約4,500円、総返済額で約189万円の増加が目安です。一方、フラット35で団信なしにした場合は一般団信付きの変動金利に比べて毎月の返済額は約29,400円増えますが、全期間固定のため金利上昇リスクがない点がメリットです。

フラット35(団信なし)を選ぶ場合の「保険コスト」も忘れずに

フラット35で団信なしにすると金利は0.2%下がりますが、代わりに民間の生命保険で保障を確保する費用がかかります。30〜40代男性の収入保障保険で月額4,000〜8,000円程度が目安です(保障額・年齢・健康状態により大きく異なります)。団信なしの金利軽減分と生命保険料のトータルで比較することが大切です。

よくある質問(FAQ)

Q. 団信に一度落ちると、他の銀行でも通らないのですか?

いいえ、必ずしもそうではありません。団信の審査を行うのは金融機関ではなく引受保険会社です。銀行が異なっても引受保険会社が同じなら結果は似通う可能性がありますが、引受保険会社が異なれば審査基準も異なるため、別の銀行では通るケースがあります。

Q. うつ病でも住宅ローンは組めますか?

うつ病は団信の告知事項に該当し、治療中の場合は一般団信に通りにくい傾向があります。ワイド団信でも精神疾患は審査が厳しい場合がありますが、完治後3年以上経過していれば告知不要となるのが一般的です。完治前であれば、フラット35(団信なし)を利用する方法が現実的な選択肢になります。

Q. フラット35で団信に入らない場合、配偶者が亡くなったらどうなりますか?

フラット35の団信はローン契約者本人に対する保障です。団信に入っていない契約者本人が亡くなった場合、残債が免除されないため、相続人(配偶者など)が返済を引き継ぐか、物件の売却で返済に充てることになります。逆に、契約者でない配偶者が亡くなった場合はローンの返済義務に直接の影響はありませんが、世帯収入が減少するリスクに備える必要があります。

Q. ワイド団信とフラット35の団信、どちらが審査は緩いですか?

比較の軸が異なるため一概には言えません。ワイド団信は一般団信より引受条件が緩和された「加入できる団信」であり、フラット35は「団信に入らなくてもローンが組める」という仕組みです。ワイド団信に通ればそちらの方が保障面で安心ですが、ワイド団信にも通らない場合はフラット35(団信なし)が最後のセーフティネットになります。

Q. 告知対象の「過去3年以内」とは、いつからいつまでですか?

告知書に記入する日(告知日)から遡って3年以内が対象です。たとえば2026年4月に告知書を記入する場合、2023年4月以降の治療歴が対象となります。それ以前に完治し、3年間治療・投薬を受けていなければ告知不要です。ただし、保険会社によっては「過去5年以内」とする場合もあるため、告知書の記載を必ず確認してください。

まとめ

団信に通らなくても、住宅ローンを組む方法はあります。最後に、本記事のポイントを整理します。

  • ワイド団信は一般団信の引受条件を緩和した団信。金利上乗せは年+0.2〜0.3%が一般的。引受保険会社が異なる銀行に複数申し込むのが鉄則
  • フラット35は団信が任意加入。団信なしなら金利が年0.2%引き下げられるが、万が一の保障は民間の生命保険で自分で確保する必要がある
  • ペアローン・収入合算で健康な配偶者を主債務者にする方法もある。住宅ローン控除の使い方や保障の設計に注意
  • 再挑戦も有効。告知対象期間(一般的に過去3年)を過ぎれば、再度一般団信に申し込める可能性がある
  • どのルートでも、「保障と返済のバランス」を数字で確認してから判断することが大切

団信の審査に通らないと不安になりますが、選択肢を整理して一つずつ検討すれば、マイホームへの道は開けます。まずは自分の状況に合った選択肢がどれかを確認し、具体的な行動に移しましょう。

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本記事は、住宅ローン・不動産分野に精通したライターが執筆し、ファイナンシャルプランニング技能士の監修のもと公開しています。記事中の制度情報・金利データは2026年4月時点の公開情報にもとづいていますが、最新の条件は必ず各金融機関・公的機関の公式サイトでご確認ください。

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