
最終更新日:2026年4月28日
「10年固定が終わったら、返済額が月2万円も上がった」「銀行から金利見直しの通知が来たけど、どうすればいいか分からない」——固定期間終了は、住宅ローン人生の中で家計に最も大きな影響が出るタイミングのひとつです。何もせずそのまま継続するか、借り換えるか、現在の銀行に金利交渉をするかで、総返済額に数百万円単位の差が出ることもあります。この記事では、固定期間終了後の正しい判断手順を、属性別シミュレーション・判断フロー・失敗例とあわせて解説します。
この記事の結論
- 固定期間終了時は「店頭金利-優遇幅」が再計算され、当初より優遇が縮小するケースが多い
- 残債1,000万円以上・残期間10年以上なら、借り換えで得する可能性が高い
- 借り換え診断を先に取ってから、現在の銀行に金利交渉するのが最短ルート
固定期間終了で何が起きるのか
固定期間選択型の住宅ローンは、当初の固定期間(3年・5年・10年など)が終わると、その時点で適用金利が再設定されます。多くの人が「変動になるだけ」と誤解していますが、実際には金利の決まり方そのものが変わります。
適用金利は「店頭金利 − 優遇幅」で決まる
住宅ローンの適用金利は、銀行が公表する「店頭金利(基準金利)」から、契約者ごとの「優遇幅(引き下げ幅)」を差し引いて計算されます。固定期間終了時にポイントとなるのは、この優遇幅が当初期間と完了後で異なることです。
| 項目 | 当初固定期間中 | 固定期間終了後 |
|---|---|---|
| 店頭金利の例 | 2.5%前後 | 2.5%前後(同じ) |
| 優遇幅の例 | -2.0%(当初優遇) | -1.5%(完了後優遇) |
| 適用金利 | 0.5% | 1.0% |
| 返済額への影響 | — | 毎月の返済額が増加 |
※数値はあくまで一例です。実際の優遇幅・店頭金利は銀行・契約時期により異なります。
「変動」か「再固定」かを選ぶことになる
固定期間が終わると、多くの銀行で次のいずれかを選ぶ手続きが発生します。
- そのまま変動金利へ移行する
- 再度、固定期間を選び直す(3年・5年・10年など)
手続きをしなかった場合、自動的に変動金利へ切り替わる銀行が一般的です。ただし、ここで選ぶ「再固定の金利」は借入当初の金利ではなく、現在の市中金利で計算されるため、当初より高くなるケースが多くなっています。
注意:自動切り替えのまま放置するのは危険
銀行から届く「金利見直しのお知らせ」を読まずに放置すると、希望しない金利タイプ・金利水準に切り替わることがあります。郵送・アプリ通知の両方を必ず確認しましょう。
属性別:固定期間終了で返済額がどう変わるか
実際に金利が上がると、返済額にどの程度のインパクトが出るのか。残債・残期間別にシミュレーションを整理します。
| ケース | 残債 | 残期間 | 金利の変化 | 毎月返済額の変化 | 残期間トータル差額 |
|---|---|---|---|---|---|
| A:30代・10年固定終了 | 2,800万円 | 25年 | 0.6% → 1.3% | 約+9,800円 | 約+294万円 |
| B:40代・5年固定終了 | 2,200万円 | 20年 | 0.7% → 1.5% | 約+8,600円 | 約+206万円 |
| C:40代・10年固定終了 | 1,500万円 | 15年 | 0.8% → 1.6% | 約+5,400円 | 約+97万円 |
| D:50代・10年固定終了 | 900万円 | 10年 | 0.9% → 1.7% | 約+3,500円 | 約+42万円 |
※元利均等返済・ボーナス払いなしで試算。実際の数値は銀行・条件により異なります。
+0.7%
固定期間終了後に上昇しやすい金利幅の目安
100〜300万円
残債2,000万円超で発生しうる総返済額の差
10年・1,000万
借り換えメリットが出やすい一般的なライン
判断フロー:継続・借り換え・交渉のどれを選ぶか
固定期間終了時の選択肢は大きく3つです。それぞれが向く条件を整理します。
STEP1 現在の残債・残期間・適用金利・新しい適用金利を確認
STEP2 借り換えシミュレーションを取り、削減見込み額を把握
STEP3 借り換え結果を材料に、現在の銀行へ金利引き下げ交渉
STEP4 交渉結果と借り換え条件を比較し、最終判断
そのまま継続してよい人
- 残債が1,000万円未満
- 残期間が10年未満
- 新しい金利と借り換え後金利の差が0.3%未満
- 団信の特約(がん団信など)を重視しており、現契約の保障内容が手厚い
- 近いうちに繰上返済や完済を予定している
このケースでは、借り換えの諸費用(30〜80万円程度)を回収できないことが多く、継続のほうが合理的です。ただし「何もしない」のではなく、現銀行への金利引き下げ交渉は試す価値があります。
借り換えを検討すべき人
- 残債が1,000万円以上
- 残期間が10年以上
- 新しい適用金利と借り換え候補金利の差が0.5%以上
- 当初契約から年収・勤続年数など属性が改善している
- 団信の見直しもあわせて検討したい
一般的に「残債1,000万円以上・残期間10年以上・金利差1%以上」が借り換えメリットの目安と言われますが、近年はネット銀行の手数料・金利水準が下がっているため、金利差0.5%でもメリットが出るケースが増えています。机上で判断せず、シミュレーションで具体的に確認するのが確実です。
現在の銀行と金利交渉すべき人
- 借り換えで諸費用を払いたくない
- 現在の銀行との取引を続けたい(給与振込・カードなど)
- 他行で借り換え可能な条件・金利の提示を受けている
- 属性(年収・勤続)が当初契約時より改善している
「金利引き下げ交渉」は意外と知られていませんが、銀行側も他行への流出を避けたいため、他行の借り換え条件を提示すると応じてもらえる可能性があります。ただし、何もない状態で「下げてください」と言っても通らないことがほとんどです。
金利引き下げ交渉のやり方
現在の銀行と交渉する場合、準備と順序が重要です。
- 残債・残期間・現在の適用金利を確認する
返済予定表または銀行アプリで把握します。 - 他行の借り換えシミュレーションを取得する
具体的な金利・諸費用・削減額の数字が交渉材料になります。 - 現在の銀行に「金利引き下げ相談」と伝える
「借り換えを検討している」と明示するのがポイントです。 - 必要書類(源泉徴収票・本人確認書類など)を準備
属性確認のため書類提示を求められることがあります。 - 提示された金利と借り換え条件を比較する
諸費用・団信・繰上返済手数料も含めて総合判断します。
編集部メモ:交渉が通りやすい人の特徴
当初契約時より年収が上がっている、勤続年数が伸びている、延滞履歴がない、他社借入が減っている——こうした属性改善は交渉でプラスに働きます。一方で延滞歴がある場合や、収入が下がっている場合は、交渉より借り換え一本に絞ったほうがよい場合もあります。
よくある失敗例
- 銀行から届いた通知を読まず、自動的に高い金利へ切り替わってしまった
- 「変動は怖い」というイメージだけで、再固定を選んだら結果的に高金利になった
- 借り換えシミュレーションを取らずに「うちは少額だから無理」と思い込み、年20万円以上の節約機会を逃した
- 団信の保障内容を確認せず借り換え、がん保障などが薄くなった
- 諸費用だけを見て借り換えをやめた(総返済額で見れば得だったケース)
- 交渉だけで判断し、借り換えと比較しなかった結果、ベストではない条件で再契約した
借り換え診断を「先に」取るべき理由
固定期間終了時の判断で最も合理的なのは、借り換え診断を先に取り、その数字を持って現銀行と交渉するという順番です。理由は3つあります。
- 借り換え条件が分かれば「継続・借り換え・交渉」の比較がフラットにできる
- 具体的な金利・削減額があると、現銀行との交渉が成立しやすい
- 診断は無料・短時間で済むため、選択肢を狭めずに済む
逆に「先に銀行に行って提示された金利で決めてしまう」と、本当に得な選択肢を比較できないまま契約してしまうことになります。
固定期間終了後の「いま借り換えるといくら得か」を数字で確認
モゲチェックの借り換え診断は、現在の残債・金利・残期間を入力するだけで、複数行の借り換え条件と削減見込み額を比較できるサービスです。交渉材料としてもそのまま使える具体的な数字が手に入ります。
- 残債1,000万円以上・残期間10年以上の人と相性がよい
- 借り換え可否だけでなく、現銀行と交渉するための材料にもなる
- 無料診断のため、結果を見てから判断できる
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誤解しやすいポイント
「固定期間が終わる=変動になる」ではない
固定期間終了時には、再固定(3年・5年・10年など)か変動かを選べる銀行が大半です。自動で変動になるのは「期日までに選択しなかった場合」のデフォルト処理です。
「店頭金利が上がっていない=適用金利も上がらない」ではない
固定期間終了時は、店頭金利が変わっていなくても、優遇幅が縮小するため適用金利が上がる仕組みです。「市場金利が変わっていないから安心」という思い込みは禁物です。
「借り換えは諸費用が高くて損」ではない
諸費用は確かに30〜80万円程度かかりますが、残期間×金利差で見れば、回収できるケースは少なくありません。総返済額ベースで判断するのが正しい考え方です。
相談前チェックリスト
- 返済予定表で「残債」「残期間」を確認した
- 銀行から届いた金利見直し通知を確認した
- 新しい適用金利と返済額を把握している
- 団信の保障内容(がん・三大疾病など)を確認した
- 当初契約時から年収・勤続年数などの属性変化を整理した
- 他社借入・延滞歴の有無を確認した
これらが揃っていれば、借り換え診断・銀行交渉のどちらもスムーズに進みます。
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FAQ
10年固定が終わって金利が上がりました。すぐ借り換えるべきですか?
5年固定が終わったあと、再度固定にするのと変動にするのはどちらが得ですか?
現在の銀行に金利引き下げを交渉すれば、本当に下がりますか?
借り換えの諸費用はどれくらいかかりますか?
団信の見直しもしたいのですが、借り換えと一緒にできますか?
残り10年・残債800万円ですが、借り換えする意味はありますか?
家計全体で判断したい場合は
固定期間終了の判断は、住宅ローン単体ではなく「教育費・老後資金・保険・車の買い替え」など家計全体で見たほうが、本当に正しい選択ができます。借り換え可否だけでなく、繰上返済とのバランスや、今後の家計設計から判断したい場合は、ファイナンシャルプランナーへの相談も選択肢になります。
住宅ローンと家計全体をあわせて見直したい人へ
返済計画・教育費・老後資金まで含めて中立的にアドバイスを受けたい場合は、無料のFP相談を活用するのも一つの方法です。
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まとめ
- 固定期間終了時は、店頭金利が変わらなくても優遇幅縮小により適用金利が上がるケースが多い
- 残債1,000万円以上・残期間10年以上・金利差0.5%以上なら借り換えメリットが出やすい
- 借り換え診断を先に取り、その数字をもとに現銀行と金利交渉するのが最短ルート
- 団信の見直しも同時に検討する価値がある
- 判断は感覚ではなく、必ず数字(残債・金利差・諸費用・残期間)で行う
運営・編集チーム
マイホーム購入・住宅ローン審査ナビ編集部。住宅ローン・不動産売却・家計改善の分野で、一次情報と公的データに基づく記事制作を行っています。記事内容は公開時点の情報をもとにしており、最新の金利・制度については各金融機関・公的機関の公式情報をご確認ください。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品・契約を推奨するものではありません。住宅ローンの借り換え可否・金利・諸費用・団信の加入可否などは、個別の状況や金融機関の審査により異なります。最終的な判断は、ご自身の状況をふまえ、各金融機関・ファイナンシャルプランナー・税理士など専門家にご相談のうえで行ってください。記載の数値・シミュレーションは試算例であり、実際の返済額・削減額を保証するものではありません。



