
最終更新日:2026年7月14日(公開時点・更新時点の情報に基づきます)
個人再生や自己破産の手続きを終えたあと、「住宅ローンはいつから申し込めるようになるのか」は、多くの人が最初に気になる点です。ネット上には「5年」「7年」「10年」など様々な情報が出回っていますが、実際には信用情報機関ごとに保有期間の考え方が異なり、さらに起算点(いつからカウントが始まるか)を取り違えている解説も少なくありません。この記事では、CIC・JICC・KSC(全国銀行個人信用情報センター)それぞれの公式情報をもとに保有期間を整理したうえで、事故情報が消えたあとの審査で実際にチェックされやすい点、そして再挑戦の準備手順を具体的にまとめます。
この記事の結論
個人再生・自己破産をした場合、CIC・JICCでは契約終了(完済や免責許可決定など)から5年以内、KSC(全国銀行個人信用情報センター)では官報公告された破産・民事再生手続開始決定の日から7年を超えない期間、事故情報が登録される仕組みになっています。つまり「いつから住宅ローンを組めるか」は、完済からか手続き開始からかという起算点の違いによって、実感として3〜8年程度の差が出ることがあります。事故情報が消えたと思われる時期に入っても、実際に組めるかどうかは信用情報の開示結果と、勤続年数・頭金・他社借入の状況など個別の審査項目によって変わります。
なぜ個人再生・自己破産をすると住宅ローンが組めなくなるのか
個人再生や自己破産の手続きを行うと、その事実がCIC・JICC・KSCといった信用情報機関に「異動情報」や「官報情報」として登録されます。住宅ローンの審査では、金融機関がこれらの信用情報機関に照会をかけ、過去の延滞や債務整理の履歴を確認する仕組みになっているため、事故情報が登録されている間は、新規のローン契約やクレジットカードの発行が事実上難しくなります。これは金融機関が個人の信用力を判断するための客観的な取引情報であり、思想や職業などとは関係のない、あくまで契約・返済に関する記録です。
重要なのは、この事故情報は永久に残るわけではなく、情報の種類ごとに定められた保有期間を過ぎると自動的に抹消される点です。次の章で、機関ごとの保有期間を具体的に見ていきます。
CIC・JICC・KSCで保有期間はどう違うのか【比較表】
日本には主要な個人信用情報機関が3つあり、加盟している業態が異なるため、同じ債務整理でも登録される機関や保有期間の考え方が変わります。CICが公表する信用情報の保有期間、JICCが公表する信用情報の内容と登録期間、全国銀行個人信用情報センター(KSC)の情報登録期間をもとに整理すると、以下のようになります。
| 信用情報機関 | 主な加盟業態 | 債務整理関連の情報区分 | 保有期間の考え方 |
|---|---|---|---|
| CIC | クレジットカード会社、信販会社など | クレジット情報(異動情報として記録) | 契約期間中および契約終了後5年以内 |
| JICC | 消費者金融、信販会社など | 契約内容・返済状況に関する情報 | 契約継続中および契約終了後5年以内(2019年10月1日以降の契約が対象) |
| KSC | 銀行、信用保証協会など | 官報情報(破産・民事再生手続開始決定) | 当該決定日から7年を超えない期間 |
この表からわかる大きな違いは、CIC・JICCが「契約終了(完済や契約解消)」を起点にしているのに対し、KSCの官報情報は「裁判所の決定日」を起点にしている点です。この起算点の違いを理解していないと、実際に組める時期を大きく読み間違えることになります。
誤解しやすいポイント:「完済から」なのか「手続きから」なのか
個人再生の場合、再生計画に基づいて概ね3年(裁判所が認めた場合は最長5年)かけて完済していくケースが一般的です。ここで整理しておきたいのは、CIC・JICCの保有期間は「契約終了(完済)」からの5年であるのに対し、KSCの官報情報は「手続き開始決定日」からの7年であるという点です。仮に再生計画の完済までに3年かかったとすると、KSCの官報情報は開始決定日から7年で消えるため、完済から数えると残り4年程度、CIC・JICCの情報は完済から5年かかるため、開始決定日から数えると合計で8年程度かかる、という計算になります。つまり、どの機関の情報を基準に考えるかによって、感覚的な「消えるまでの年数」がずれてしまうのです。
自己破産の場合も同様の構造で、免責許可決定までにかかる期間(申立てから半年〜1年程度が一般的とされていますが、事案により異なります)を挟んだうえで、CIC・JICCは契約終了(免責許可決定の確認時点など)から5年、KSCの官報情報は破産手続開始決定日から7年という区分になります。「自己破産は7年」という情報は、KSCの官報情報の保有期間だけを指している場合が多く、CIC・JICCについては別の基準で消える可能性がある、という点を押さえておく必要があります。
注意点
ここで示した年数は、各機関が公表している登録期間の枠組みに基づく一般的な整理です。実際の登録・抹消のタイミングは、契約内容や手続きの進み方、会員会社の報告状況によって前後することがあります。「何年何月に必ず消える」と断定することはできないため、正確な状況は開示請求によって確認する必要があります。
【独自シミュレーション】個人再生と自己破産、回復までの実感年数を比べる
手続きの種類によって、事故情報が消えるまでの実感年数がどう変わるのか、一般的なケースで比較してみます。数字はあくまで手続きの標準的な進み方を前提にした整理であり、個別の事情によって変動する点はご了承ください。
| ケース | 手続き開始から完済・免責までの目安 | KSC官報情報が消えるまで(開始決定日基準) | CIC・JICCの情報が消えるまで(完済基準) |
|---|---|---|---|
| 個人再生(再生計画3年で完済) | 約3年 | 開始決定日から7年(完済から数えると約4年後) | 完済から5年(開始決定日から数えると約8年後) |
| 個人再生(再生計画5年で完済) | 約5年 | 開始決定日から7年(完済から数えると約2年後) | 完済から5年(開始決定日から数えると約10年後) |
| 自己破産(免責決定まで約1年) | 約1年 | 開始決定日から7年(免責決定から数えると約6年後) | 免責許可決定の確認から5年(開始決定日から数えると約6年後) |
この整理から見えてくるのは、個人再生で完済に時間がかかった人ほど、KSCの官報情報の方が先に消え、CIC・JICCの情報の方が後まで残るという逆転現象が起きやすいという点です。逆に自己破産の場合は、免責決定までの期間が比較的短いため、KSCとCIC・JICCがほぼ同時期に消えるケースも多くなります。どちらの機関の情報が自分にとってのボトルネックになっているかは、実際に開示請求をして確認するのが最も確実です。
事故情報が消えたあと、住宅ローン審査で見られやすい点
信用情報から事故情報が抹消されたとしても、住宅ローンの審査に自動的に通るわけではありません。金融機関は信用情報に加えて、申込者の現在の収入・勤続年数・他社借入の状況・頭金の有無などを総合的に見て判断します。一般的な傾向として、次のような点が重視されやすいとされていますが、審査基準は金融機関によって異なり、公表されていない部分も多いため、あくまで目安として捉えてください。
まず勤続年数については、事故情報の抹消後に転職している場合、現在の勤務先での在籍期間が短いと安定収入の証明が難しくなる傾向があります。次に頭金については、フルローン(頭金なし)よりも、購入価格の一定割合を自己資金で用意できている方が、金融機関にとってリスクが低いと判断されやすい傾向があります。さらに他社借入については、事故情報とは別に、現在進行中の借入(カードローンやリボ払いなど)が多いと、返済負担率の計算上不利になることがあります。これらはいずれも個人再生・自己破産の経験者に限った話ではなく、住宅ローン審査全般に共通する視点ですが、過去に債務整理をした経験がある場合は、より慎重に見られる可能性がある点は理解しておく必要があります。
【独自の考え方】申込み先の選び方:事故当時と同じグループを避けるという視点
もう一つ、実務の現場でよく指摘される考え方として、事故を起こした当時に借入をしていた金融機関と同じ金融グループ(銀行・カード会社・信販会社などが同一グループに属している場合)への申込みは、初回の再挑戦では避けたほうが無難という見方があります。これは、信用情報機関の公式な保有期間とは別に、グループ内で共有される社内データや稟議上の記録が、公的な保有期間よりも長く社内的に参照される可能性があるという実務上の指摘に基づくものです。ただし、これはすべての金融機関に当てはまると断定できるものではなく、実際の運用は金融機関ごとに異なります。判断の目安としては、次の順番で整理すると考えやすくなります。
①事故当時に契約していた借入先(銀行・信販会社・カード会社)の名前を書き出す
②その借入先が属する金融グループ(系列銀行・系列カード会社など)を確認する
③初回の申込みでは、そのグループに属さない金融機関を優先的に検討する
④信用情報の開示で事故情報の抹消を確認したうえで、複数の金融機関に事前審査を申し込み、反応を比較する
この考え方はあくまで「同じ結果を保証するものではない」という前提で活用してください。実際にどの金融機関が通りやすいかは、個人の属性や物件条件によって変わるため、一つの金融機関の結果だけで判断せず、複数の選択肢を比較することが再挑戦の基本になります。消費者金融からの借入歴がある場合の考え方については、消費者金融の借入歴があっても住宅ローンに通る方法でも整理していますので、あわせて確認してみてください。
申し込み前に必ずやること:信用情報の開示請求の手順
事故情報が消えているはずの年数を過ぎていても、実際に情報が抹消されているかどうかは、自分自身で信用情報機関に開示請求をして確認する必要があります。感覚や計算だけで「もう消えているはず」と判断して申込みを進めると、無駄な審査履行(申込情報として記録が残ること)を重ねてしまい、結果的に他の金融機関の審査にも影響しかねません。
【ステップ1】CIC・JICC・KSCそれぞれの公式サイトから、本人開示の申込み方法(インターネット・郵送・窓口)を確認する
【ステップ2】本人確認書類を用意し、各機関の指定する方法で開示請求を行う
【ステップ3】開示結果を受け取り、異動情報・官報情報の欄に記載が残っていないかを確認する
【ステップ4】3機関すべてで事故情報の記載がないことを確認できたら、住宅ローンの事前審査に進む
【ステップ5】1社だけでなく、複数の金融機関に事前審査を申し込み、条件や結果を比較する
□ CIC・JICC・KSCの3機関すべてで開示請求を済ませたか
□ 異動情報・官報情報の項目に記載が残っていないか確認したか
□ 現在進行中の他社借入(カードローン・リボ払いなど)を整理・完済できているか
□ 頭金として用意できる自己資金の額を把握しているか
□ 直近の勤続年数・雇用形態が安定しているか
× 事故情報が消えているはずと自己判断だけで複数の金融機関に一斉申込みをする
× 開示請求を1機関しか行わず、他の機関の記載を確認しないまま申込みを進める
× 現在進行中の借入を整理せず、返済負担率が高い状態で審査に進む
信用情報がブラックの状態から抜けたあとの申込み戦略については、信用情報ブラックでも住宅ローンに通るための7つの戦略でも詳しく整理していますので、開示確認後の具体的な動き方を検討する際の参考にしてください。また、コロナ関連の特例貸付を利用しながら住宅ローンを検討している場合は、コロナ特例貸付の返済中でも住宅ローンは組めるかもあわせて確認しておくと、状況の整理がしやすくなります。
専門家に相談する場合の視点
個人再生・自己破産の経験がある状態での住宅ローン相談は、一般的な住宅ローン相談よりも、信用情報の状況と返済計画の両方を踏まえた提案が必要になります。相談する際は、開示結果を持参したうえで、どの時点から申込みが可能と考えられるか、複数の金融機関でどのような違いが出やすいかを具体的に聞くようにすると、話が進みやすくなります。
よくある失敗例
実際の相談でよく見られる失敗のパターンとして、次のようなケースがあります。1つ目は、KSCの官報情報だけを確認して「もう7年経ったから大丈夫」と判断し、CIC・JICCの確認を省略してしまうケースです。前述の通り、完済のタイミング次第でCIC・JICCの方が後まで残ることがあるため、3機関すべての確認が欠かせません。2つ目は、事故情報が消えたことを確認せずに複数の金融機関へ同時に事前審査を申し込み、結果として申込情報(照会記録)が短期間に集中してしまい、金融機関側から見て不自然な動きに見えてしまうケースです。3つ目は、事故当時の借入先と同じ金融グループに真っ先に申し込んでしまい、初回の結果に落ち込んでその後の申込みを諦めてしまうケースです。1社の結果だけで住宅ローン全体の可否が決まるわけではないため、審査に落ちた場合も、原因を整理してから次の一手を考えることが大切です。審査に落ちた理由が分からず次に進めない場合は、住宅ローン審査に落ちた理由がわからない人向けの整理方法も参考にしてみてください。
ここまで整理した通り、個人再生・自己破産の経験がある状態での住宅ローン選びは、信用情報の状況確認だけでなく、金融機関ごとの審査傾向の違いを踏まえて複数社を比較することが、無駄な申込みを避けるうえで重要になります。1社だけに申し込んで結果を待つよりも、あらかじめ複数の金融機関の反応を比較できる仕組みを使うほうが、事故当時と同じグループを避けるといった選び方も実行しやすくなります。
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FAQ
個人再生と自己破産で、住宅ローンが組めるようになる時期に違いはありますか
配偶者や家族に個人再生・自己破産の経験がある場合、自分の住宅ローン審査に影響しますか
信用情報の開示結果に事故情報が残っていた場合、どうすればよいですか
事故情報が消えていれば、どの金融機関でも住宅ローンに通りやすくなりますか
まとめ
個人再生・自己破産をした後の住宅ローンは、CIC・JICCでは契約終了(完済など)から5年以内、KSCの官報情報では手続き開始決定日から7年を超えない期間という、機関ごとに異なる起算点と保有期間のもとで事故情報が管理されています。「自己破産は7年」「個人再生は5年」といった一言では説明しきれない部分があり、実際に組める時期を知るには、3機関すべての開示結果を確認することが欠かせません。事故情報の抹消を確認したあとは、事故当時と同じ金融グループを避けるといった申込み先の選び方や、頭金・勤続年数・他社借入の整理といった基本的な準備を踏まえたうえで、複数の金融機関を比較しながら再挑戦を進めていくことになります。



