
自宅を手放さずにお金を用意したいと考えたとき、多くの方が「リースバック」と「不動産担保ローン」の二つを候補に挙げます。どちらも自宅を活用して資金を得る方法ですが、仕組みも将来への影響も大きく異なります。名前が似ているために混同されがちですが、選び方を誤ると、10年後の資産や住まいの選択肢に思った以上の差が出ることがあります。この記事では、所有権の扱いという最大の分岐点をもとに、調達額・月々の負担・10年後の総コストという具体的な軸で両者を比較し、年齢や資金の使い道によってどちらが向いているかを判断できるように整理しています。
自宅を将来的に自分や家族の資産として残したいなら、所有権を保持できる不動産担保ローンが候補になりやすく、資産として残す予定がなく、まとまった資金をすぐに確保したいならリースバックが候補になりやすい傾向があります。ただし、どちらも返済・支払いが続く前提の契約であり、収入や資金使途によって適性は変わります。金額や条件は個別の物件・金融機関・不動産会社によって異なるため、この記事の数値はあくまで目安として、実際の判断は複数社での見積もり・相談を踏まえて行ってください。
リースバックと不動産担保ローンの基本的な違い
二つの制度の違いを一言で表すなら、「自宅を売るか、自宅を担保に借りるか」という点に尽きます。リースバックは、自宅を不動産会社などに売却し、売却代金を一括で受け取ったうえで、その会社と賃貸契約を結んで家賃を払いながら同じ家に住み続ける仕組みです。売却が成立した時点で所有権は買主に移転するため、契約後は「持ち家」ではなく「賃貸物件」に住んでいる状態になります。
これに対して不動産担保ローンは、自宅の所有権を保持したまま、その不動産を担保として金融機関から融資を受ける方法です。毎月の返済が発生する点はリースバックの家賃負担と似ていますが、完済すれば担保が外れ、自宅は引き続き自分の資産として残ります。逆に返済が滞ると、担保権に基づいて自宅を売却されるリスクがある点は、住宅ローンと同様に注意が必要です。
所有権の扱いが将来の選択肢を左右する
所有権を手放すリースバックでは、将来的に自宅を売却して得られるはずだった資産価値(将来の値上がり分や相続財産としての価値)は基本的に発生しません。一方、不動産担保ローンで所有権を保持していれば、将来自宅を売却した場合の売却益や、子どもへの相続といった選択肢を残すことができます。ただし、いずれの場合も金融機関・不動産会社ごとに契約条件は異なるため、契約書の内容を必ず個別に確認する必要があります。
比較表で見る調達額・月々の負担・向いている人
自宅の市場価格が3,000万円程度で、住宅ローンの残債がないケースを想定した一般的な目安を示します。実際の買取価格・借入可能額・金利は、物件の評価、居住地域、金融機関や不動産会社の審査基準によって変動します。
| 比較軸 | リースバック | 不動産担保ローン |
|---|---|---|
| 所有権 | 契約時に買主へ移転する | 保持したまま(完済すれば維持) |
| 資金調達額の目安 | 市場価格の6割〜7割程度が多い傾向 | 評価額の5割〜7割程度が目安(金融機関により差が大きい) |
| 月々の負担 | 家賃(買取価格の7%〜13%程度/年が目安) | ローン返済(金利・返済期間による) |
| 金利・利回りの目安 | 賃料換算で年7%〜13%程度になりやすい | 銀行系で年1%〜9%程度、ノンバンク系で年4%〜10%程度 |
| 将来の選択肢 | 買戻し特約がなければ再取得は難しい | 完済後は売却・相続・住み替えも自由 |
| 審査・契約の柔軟性 | 収入審査が比較的緩やかな傾向 | 返済能力の審査があり、年齢・収入による制限も |
| 向いている人 | 資産として自宅を残す予定がなく、まとまった資金がすぐ必要な人 | 自宅を残したいが、一時的にまとまった資金が必要な人 |
賃料換算での利回りが年7%〜13%程度という数字は、リースバックの買取価格に対して不動産会社が想定する投資回収率にあたります。買取価格そのものが市場価格より低めに設定されるため、家賃の負担感は「もらった金額」に対しては見た目以上に重くなりやすい点は押さえておく必要があります。
10年後の総コストで比較する(独自試算)
金額の大小だけでなく、10年間住み続けた場合にどれだけのコストがかかり、最終的に何が手元に残るのかを試算すると、二つの制度の違いがより具体的に見えてきます。以下はあくまで一定の条件を仮定した計算例であり、実際の買取価格・金利・返済期間は契約ごとに異なります。
前提条件(仮定の例)
自宅の市場価格:3,000万円/住宅ローンの残債なし
ケースA:リースバックで2,000万円を調達した場合
買取価格を市場価格の約67%にあたる2,000万円、年間家賃を買取価格の9%相当である180万円(月15万円)と仮定します。この場合、10年間の家賃総額は1,800万円になります。調達した2,000万円のうち、10年住み続けるだけで1,800万円を家賃として支払うことになり、手元に残る実質的な資金は200万円程度にとどまります。さらに10年後も自宅の所有権はなく、住み続けるには家賃の支払いを継続する必要があります。
ケースB:不動産担保ローンで1,500万円を借りた場合
借入額を評価額の50%にあたる1,500万円、金利を年3.0%、返済期間を10年の元利均等返済と仮定すると、月々の返済額はおよそ14.5万円、10年間の総返済額はおよそ1,738万円(うち利息はおよそ238万円)になります。完済できれば、自宅は担保から外れ、引き続き自分の資産として保有できます。
同じ「10年」という期間で比べると、リースバックは調達額の9割程度が住み続けるコストとして消費される計算になりやすく、不動産担保ローンは総返済額が借入額を約16%上回る一方で、完済後は資産としての自宅が手元に残ります。どちらが「損か得か」は、10年後に自宅を資産として残したいかどうかで評価が変わる点が、この試算からわかる最大のポイントです。
年齢・資金使途別の判断フロー
どちらが向いているかは、年齢、返済を続けられる収入があるか、資金の使い道によって変わります。以下のフローで、自分の状況に近いものを確認してみてください。
Q1. 将来、この家を資産として残す・売却する予定はあるか
「ない(賃貸感覚で住み続けられればよい)」→ リースバックが候補になりやすい
「ある(子に残したい・将来売って住み替えたい)」→ Q2へ
Q2. 毎月の返済を継続できる収入や年金があるか
「継続できる見込みがある」→ 不動産担保ローンが候補になりやすい
「継続が不安・収入の見通しが立てにくい」→ Q3へ
Q3. 資金の使途はまとまった一時的な資金か、それとも生活費の補填か
「事業資金・相続対策など一時的な資金」→ 不動産担保ローンで短期返済を検討
「生活費の補填・老後資金」→ リースバックに加え、売却して住み替える選択肢も比較検討
このフローはあくまで一般的な傾向を示したものであり、実際の適性は年齢、健康状態、住宅ローンの残債有無、家族構成によっても変わります。判断に迷う場合は、複数の金融機関・不動産会社に相談し、同じ条件で見積もりを比較することをおすすめします。
属性別のケーススタディ
ケース1:65歳夫婦、生活資金の確保が目的
子どもに家を残す予定がなく、将来的に住み替えや施設入居も想定している場合、リースバックで一時的にまとまった資金を確保し、家賃を年金や資金の一部で払い続けるという選択が検討されやすい傾向があります。ただし、家賃の支払いが年金だけで続けられるかは事前にシミュレーションが必要です。
ケース2:55歳、事業資金が一時的に必要
数年後には資金を回収でき、自宅を将来的に残したい場合、不動産担保ローンで短期の借入を行い、事業の収益で返済していく方法が検討されやすいケースです。金利や返済期間は事業計画とあわせて金融機関に相談する必要があります。
ケース3:45歳、住宅ローンの残債があり売却も迷っている
残債がある状態では、リースバックも不動産担保ローンも、残債の完済や金融機関の同意が前提になることが多く、単独での判断が難しくなります。このケースでは、まず売却した場合の査定額を確認し、残債完済後にどの程度資金が残るのかを把握したうえで、リースバックや住み替えと比較するのが現実的です。
注意点・デメリット(両方に共通するリスク)
リースバックの注意点
家賃は契約更新時に見直される場合があり、当初の想定より負担が増える可能性があります。また、買戻し特約がない契約や、買戻し価格が売却価格より大幅に高く設定されている契約もあるため、契約前に条件を必ず確認する必要があります。国民生活センターも、高齢者を中心に強引な勧誘や契約内容の説明不足によるトラブルが相談されていると注意を呼びかけています(国民生活センター「強引に勧められる住宅のリースバック契約にご注意!」、2025年5月21日公表)。
不動産担保ローンの注意点
返済が滞ると、担保である自宅を売却されるリスクがあります。また、自宅を担保にする個人向けの不動産担保ローンは、貸金業者からの借入であれば総量規制の対象となる場合があり、借入可能額が年収などによって制限されるケースがあります(銀行など貸金業者に該当しない金融機関は総量規制の対象外です)。総量規制の考え方については日本貸金業協会の解説も参考になります。金利が変動型の場合、将来の金利上昇によって返済額が増える可能性もあるため、固定・変動どちらの契約かを必ず確認してください。
こんな判断は避けたい(よくある失敗パターン)
- 家賃や返済額だけを比較し、10年後に何が手元に残るかを計算せずに契約してしまう
- 買戻し特約の有無や買戻し価格を確認せずにリースバックを契約してしまう
- 返済原資(年金・事業収益など)の見通しを立てずに不動産担保ローンを組んでしまう
- 1社だけの提示条件で判断し、他社と比較しないまま契約してしまう
どちらの制度も、契約後に「思っていたより負担が大きい」「もっと有利な条件があった」と感じるケースは、比較を十分に行わなかったことが原因になりやすい傾向があります。契約前に複数の会社・金融機関で条件を出してもらい、同じ前提で比べることが、後悔を減らす最も確実な方法です。
無料・相談可能
自宅を手放さずに資金調達できるか、まず条件を確認する
不動産担保ローンは、金融機関によって借入可能額・金利・返済期間の条件が大きく異なります。事業資金や急な資金ニーズがある場合、自分だけで金融機関ごとの条件差を見極めるのは難しいため、まずは相談を通じて借入可能額の目安を確認しておくと、リースバックとの比較材料が具体的になります。
- 自宅を担保にした資金調達の可否や借入可能額を相談できる
- 事業資金・急な資金ニーズがある人に向いている
- 条件を確認したうえでリースバックと比較検討できる
※上記はプロモーションを含みます。
よくある質問
リースバックの家賃は契約期間中ずっと同じ金額ですか。
住宅ローンの残債が残っていても不動産担保ローンは組めますか。
リースバックで売却した自宅は将来買い戻せますか。
不動産担保ローンは年齢が高いと審査に通りにくくなりますか。
どちらも難しいと感じた場合、他にどんな選択肢がありますか。
無料・複数社比較
売却も選択肢に入れるなら、まず査定額を確認しておく
リースバックの買取価格が適正かどうかは、通常の売却相場と比べてみないと判断しにくいものです。売却して住み替える選択肢も含めて検討したい場合は、複数の不動産会社から査定額を出してもらうことで、リースバックとの金額差を具体的に把握できます。
※上記はプロモーションを含みます。
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まとめ
リースバックと不動産担保ローンは、いずれも自宅を活用して資金を得る方法ですが、所有権を手放すか保持するかという点で将来の選択肢が大きく変わります。10年後の総コストで比べると、リースバックは調達額の多くが家賃として消費されやすく、不動産担保ローンは総返済額が借入額を上回るものの、完済後は自宅が資産として残ります。どちらが向いているかは、資産を残す予定の有無、返済を続けられる収入があるか、資金の使途によって判断が変わるため、この記事の判断フローを参考に、まずは自分の状況を整理してみてください。最終的な判断は、複数の金融機関・不動産会社から条件を確認したうえで行うことをおすすめします。



