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最終更新日:2026年5月8日/本記事は公開時点・更新時点の情報に基づきます。
親が亡くなって実家を兄弟で相続したものの、誰も住む予定がない——そんな状態で「とりあえず売却したい」と考える人は多くいます。ただ、共有名義の不動産は原則として共有者全員の同意がないと売却できないため、進め方を間違えると兄弟関係まで壊しかねません。相続登記の義務化を踏まえ、売却までの手順、同意の取り方、トラブル回避のポイントを整理しました。
本記事は一般的な情報提供を目的とした内容です。相続登記、共有持分の取扱い、遺産分割、税金などの個別判断は、司法書士・弁護士・税理士など専門家へご確認ください。
兄弟共有の実家、そもそも売れる?
結論から言えば、共有者全員が同意すれば売却できます。逆に言えば、1人でも反対すれば、不動産そのものを丸ごと売ることはできません。
共有名義の不動産の処分ルール
- 不動産全体の売却・大規模な変更:共有者全員の同意が必要
- 賃貸など利用に関する管理行為:持分の過半数で決定
- 修繕など保存行為:共有者の単独で可能
- 自分の持分のみの売却:単独で可能(ただし買い手は限られる)
「兄弟の1人がどうしても反対する」「行方不明の兄弟がいる」といったケースでは、通常の売却が止まってしまいます。最終的には共有物分割請求などの法的手続きに進むこともありますが、まずは話し合いで合意形成することが現実的なスタートラインです。
相続登記の義務化を確認する
2024年4月1日から、相続による不動産の取得を知った日から3年以内に相続登記を申請することが義務になりました。正当な理由なく怠った場合、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。施行前に発生した相続も対象になるため、「親が10年前に亡くなったが登記していない」という家も無関係ではありません。
制度の詳細は法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」で確認できます。
売却の前提として相続登記が必要
名義が亡くなった親のままでは、不動産を売ることはできません。兄弟の誰かの単独名義にするか、共有名義で登記してから売却する流れになります。司法書士に依頼するのが一般的で、登記費用と必要書類の準備に1〜2か月程度かかることも珍しくありません。
売却までの全体フロー
- 遺言の有無、相続人の確定、相続財産の整理
- 遺産分割協議で実家の取扱いを決める(売却して現金で分けるなど)
- 相続登記を申請する(共有名義 or 代表者単独名義)
- 複数の不動産会社へ査定依頼し、相場と販売戦略を比較
- 媒介契約を結び売却活動を開始
- 売買契約・引き渡し・売却代金を分配
- 確定申告(譲渡所得が出た場合)
「売ること自体は決まっているが、誰の名義にするかで揉めている」という段階で止まる家庭は多くあります。協議が進まないまま放置すると、固定資産税の負担、空き家の劣化、トラブルの長期化につながります。
同意を取りまとめるときのポイント
情報を兄弟で共有する
「とりあえず売って分ければいい」と思っても、いくらで売れるのか、税金や諸費用でどれくらい引かれるのか、最終的に1人いくらになるのかが見えないと、判断のしようがありません。具体的な数字を共有してから話し合うことで、感情論になりにくくなります。
役割と決定方法を最初に決める
- 窓口になる人(不動産会社とのやり取り)を1人決める
- 重要事項は全員で決定するか、過半数で決めるかを最初に合意する
- 諸費用や登記費用の立替・精算ルールを書面化する
- 売却益の分配方法(持分比率に応じる/均等など)を文書化する
話がまとまらない場合の選択肢
| 状況 | 主な選択肢 |
|---|---|
| 1人だけ売却に反対している | その兄弟が他の兄弟の持分を買い取る/弁護士を交えて協議 |
| 兄弟の1人が住み続けたい | 住む人が他の持分を買い取り、単独名義へ変更 |
| 連絡が取れない兄弟がいる | 住所調査・不在者財産管理人の選任など、専門家への相談が必要 |
| 協議がまとまらない | 共有物分割請求(訴訟を含む)を検討。弁護士に相談 |
共有持分だけを売却する選択肢もありますが、買い手が専門業者中心になり、市場価格より低い金額になりやすい傾向があります。トラブルが長期化すると一層の損失につながりやすいため、早めに専門家を交えるほうが結果として円満に進みやすくなります。
売却前に査定額を必ず確認しておく理由
遺産分割協議で「実家は売って現金で分ける」と決まっても、いくらで売れるかが分からないと公平な分け方が議論できません。同じ家でも不動産会社によって査定額に数百万円の差が出ることは珍しくないため、複数社に査定を依頼してレンジを把握しておくのが安全です。
査定段階で兄弟と共有しておきたい情報
- 査定額のレンジ(上下の幅)
- 仲介手数料・登記費用・解体費・測量費などの諸費用見込み
- 譲渡所得税の概算と取得費加算の特例の適用可否
- 売却までの想定期間
- 仲介売却と買取の違い、それぞれの想定価格差
築25年を超える戸建ての場合は、リフォームや解体をせず現状で売るほうが手元に残るケースもあります。判断の考え方は築25年以上戸建ては「直さず売る」が正解になる条件を参考にしてください。
実家に住宅ローンが残っているケース
親名義のローンが完済されていない場合は、団体信用生命保険でローンが消えている可能性もあれば、相続人がローンを引き継ぐ可能性もあり、状況によって対応が変わります。詳細は相続した実家に住宅ローンが残っていた…、相続後の住み替えを含めた整理は親が亡くなり実家を相続…住宅ローン返済中でも住み替えできる?でも解説しています。
相続税の納税資金や代償分割の資金調達など、共有持分が絡む特殊な資金ニーズが出る場合は、共有持分の不動産でも即日融資?も状況整理の参考になります。
税金面で確認しておきたいポイント
実家の売却で利益が出た場合、譲渡所得税・住民税の対象になります。一方で、相続した居住用不動産には「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」(いわゆる空き家3000万円特別控除)など、条件を満たせば税負担を軽減できる制度があります。適用要件は厳格で、年度ごとに見直しもあるため、最新情報を確認したうえで税理士に相談するのが安全です。
制度の概要は国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」で確認できます。
共有名義のままだと税務処理が複雑になりやすい
共有のまま売却すると、譲渡所得・経費・控除が持分ごとに按分される形になり、各自の確定申告が必要になります。共有者ごとに収入や控除状況が違うため、必ず税理士に確認しながら進めるのが現実的です。
兄弟間トラブルを避けるための判断フロー
- 遺言の有無を確認し、相続人を確定する
- 実家の活用方針(売却・賃貸・誰かが住む)を兄弟で擦り合わせる
- 複数の不動産会社へ査定依頼し、相場と売却見込みを把握
- 諸費用・税金を踏まえた「手取り額」を共有する
- 遺産分割協議書を司法書士・弁護士のサポートのもと作成
- 相続登記を申請
- 売却活動を開始し、売却代金を協議どおりに分配
兄弟で話し合う前に、実家の「売却見込み」を把握しておく
遺産分割の話し合いをスムーズに進めるには、感情ではなく数字を共有することが効果的です。複数の不動産会社にまとめて査定を依頼すれば、立地・築年数・市場動向を踏まえた価格レンジが見えてきます。1社だけの数字では兄弟間で「もっと高く売れるはず」と意見が割れやすいため、複数社の見立てを揃えてから協議に臨むのがおすすめです。
- 大手から地域密着まで複数社へまとめて査定依頼できる
- NTTデータグループ運営、参加不動産会社が事前審査されている
- 相続物件・空き家・遠方の実家にも対応
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相続後の家計や税金面で迷うとき
「相続税の納付資金が足りるか」「売却益をどう運用すべきか」「自分自身の住宅ローンや老後資金とのバランスをどう取るか」など、家計全体を踏まえた判断が必要な場合は、ファイナンシャルプランナーへの相談が有効な選択肢になります。
相続後の資金計画・税負担を含めて整理したい人へ
実家売却で得た資金を、住宅ローン繰上返済・教育費・老後資金にどう振り分けるか、税金とのバランスをどう取るかは、自分だけで判断しにくい領域です。中立な立場のファイナンシャルプランナーに、家計全体の視点から整理してもらうことができます。
- 家計全体から見たお金の使い方を相談できる
- 住宅・教育・老後とのバランスを整理できる
- 無料・オンライン対応も可能
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よくある質問
兄弟の1人だけが反対しています。残りの兄弟だけで売却できますか?
相続登記をしないまま売却の話を進めても大丈夫ですか?
自分の持分だけを売ることはできますか?
空き家のまま放置するとどうなりますか?
売却益はどう分けるのが一般的ですか?
売却前にリフォームしたほうが高く売れますか?
まとめ
- 共有名義の実家を売却するには、原則として共有者全員の同意が必要
- 2024年4月から相続登記は義務化されており、売却の前提として登記を済ませておく必要がある
- 兄弟間トラブルを避けるには、査定額・諸費用・税金を踏まえた「手取り額」を早めに共有する
- 1社の査定額だけで判断せず、複数社の見立てを揃えてから協議する
- 協議がまとまらないとき、ローン残債があるとき、税負担が大きいときは、司法書士・弁護士・税理士などの専門家に相談する
- 放置すると固定資産税や空き家リスクが膨らむため、方針決定は早めが得策
参考にした情報
相続登記・空き家関連の制度については、法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」、税制については国税庁の公表資料、不動産取引の市場動向については国土交通省の公表資料を参考にしています。制度・税制は変更される可能性があるため、最新情報は各公式サイトおよび専門家にご確認ください。
運営者:マイホーム購入・住宅ローン審査ナビ編集部
住宅ローン審査・住宅購入・不動産売却・住み替え・家計見直し・住宅設備分野を中心に、法務省、国税庁、国土交通省、住宅金融支援機構、各金融機関の公開情報を参照しながら情報をまとめています。記事は公的情報・公式情報をもとに編集部で確認のうえ作成しており、制度や市場動向の変化に応じて見直しを行っています。相続登記、遺産分割、共有持分の処分、相続税など個別の判断については、司法書士・弁護士・税理士・不動産会社・FPなど専門家への確認をおすすめします。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の不動産会社・金融商品・サービスへの申込みや、具体的な相続・売却・税務判断を保証するものではありません。相続関係・登記・税制は個別事情によって取扱いが大きく異なり、また法令や制度は変更される可能性があります。最新情報および個別の判断については、必ず司法書士・弁護士・税理士・不動産会社・FPなど専門家にご確認ください。


