
「住宅ローン、みんな月々いくら払ってるの?」
「自分の年収だと、どれくらいの返済額が普通なの?」
「無理のない返済額の目安を知りたい...」
マイホーム購入を検討する時、誰もが気になるのが「他の人はいくら払っているのか」という疑問です。でも、なかなか友人や同僚には聞きづらいデリケートな話題ですよね。
実は、最新の調査データによると、住宅ローンの月々の平均返済額は約11.7万円。しかし、これはあくまで全体の平均値。物件の種類や地域、年収によって大きく異なります。
本記事では、2025年最新の統計データを基に、住宅ローンの返済額に関する「みんなの実態」を詳しく解説します。さらに、あなたに最適な返済額の決め方や、「きつい」と感じないための実践的なアドバイスもご紹介します。
住宅ローンの月々の返済額|みんないくら払ってる?
2025年最新!月々の平均返済額は11.7万円
住宅金融支援機構の最新調査(2024年度)によると、住宅ローンの月々の平均返済予定額は11.72万円です。これは年間で約140万円の返済額となります。
ただし、この数字を見て「意外と少ない」「思ったより多い」と感じる方もいるでしょう。それは、この数字があくまで全体の平均値だからです。
📊 月々の返済額の分布
返済額 | 割合 | 特徴 |
---|---|---|
5万円未満 | 8.2% | 中古物件・地方在住者が多い |
5~8万円 | 22.5% | コンパクトな物件購入者 |
8~10万円 | 25.3% | 最も多いボリュームゾーン |
10~12万円 | 20.1% | 平均的な返済額 |
12~15万円 | 15.8% | 都市部・新築購入者 |
15万円以上 | 8.1% | 高額物件購入者 |
ボーナス返済を含めた実態
月々の返済額だけでなく、ボーナス返済を利用している人も多くいます。
- ボーナス返済利用率:約40%
- ボーナス返済の平均額:年間40~80万円(1回あたり20~40万円)
- ボーナス返済の割合:借入総額の20~30%程度
例えば、月々10万円の返済に加えて、ボーナス時に年2回各30万円を返済すると、年間返済額は180万円になります。
物件種別で見る平均返済額の違い
住宅の種類によって、返済額には大きな差があります。国土交通省の「令和4年度住宅市場動向調査報告書」のデータを基に、詳しく見ていきましょう。
物件種別の月々返済額ランキング
順位 | 物件種別 | 月々の返済額 | 年間返済額 | 平均購入価格 |
---|---|---|---|---|
1位 | 新築マンション | 14.8万円 | 178万円 | 5,279万円 |
2位 | 注文住宅(土地付き) | 14.5万円 | 174万円 | 5,436万円 |
3位 | 建売住宅 | 10.6万円 | 127万円 | 4,214万円 |
4位 | 中古マンション | 8.4万円 | 101万円 | 3,157万円 |
5位 | 中古戸建 | 8.3万円 | 100万円 | 2,959万円 |
なぜ新築マンションの返済額が最も高いのか?
新築マンションの返済額が高い理由は以下の通りです:
- 立地の良さ:駅近・都心部の物件が多い
- 設備の充実:最新設備・共用施設が充実
- 資産価値:将来の売却を見込める
- 購入者層:比較的高収入層が多い
💡 物件選びのポイント
返済額だけで物件を選ぶのではなく、以下も考慮しましょう:
- 将来の資産価値
- 維持管理費(マンションの場合)
- リフォーム費用(中古の場合)
- 通勤・通学の利便性
年収別|適正な返済額の目安
返済負担率とは?
返済負担率とは、年収に対する年間返済額の割合のことです。この数値が、無理のない返済計画を立てる上で最も重要な指標となります。
返済負担率(%)= 年間返済額 ÷ 年収 × 100
年収別の適正返済額一覧
年収 | 理想的な返済負担率 (20%) |
一般的な返済負担率 (25%) |
上限の返済負担率 (30%) |
---|---|---|---|
300万円 | 月5万円 | 月6.3万円 | 月7.5万円 |
400万円 | 月6.7万円 | 月8.3万円 | 月10万円 |
500万円 | 月8.3万円 | 月10.4万円 | 月12.5万円 |
600万円 | 月10万円 | 月12.5万円 | 月15万円 |
700万円 | 月11.7万円 | 月14.6万円 | 月17.5万円 |
800万円 | 月13.3万円 | 月16.7万円 | 月20万円 |
1000万円 | 月16.7万円 | 月20.8万円 | 月25万円 |
実際のみんなの返済負担率は?
住宅金融支援機構の調査によると、実際の返済負担率の平均は23.4%です。物件種別では以下のようになっています:
- 注文住宅:25.1%
- 新築マンション:24.8%
- 建売住宅:22.5%
- 中古マンション:19.9%(最も低い)
- 中古戸建:21.2%
⚠️ 注意:返済負担率35%の罠
金融機関の審査では「返済負担率35%まで」という基準がありますが、これは上限値です。実際に35%で借りると、生活がかなり厳しくなる可能性があります。
推奨:返済負担率は25%以下に抑えることで、余裕のある生活を維持できます。
平均借入額と頭金の実態
住宅ローンの平均借入額
2024年度の調査によると、住宅ローンの平均借入額は以下の通りです:
物件種別 | 平均借入額 | 購入価格に対する割合 |
---|---|---|
注文住宅(土地付き) | 4,710万円 | 86.6% |
新築マンション | 4,520万円 | 85.6% |
建売住宅 | 3,770万円 | 89.5% |
中古マンション | 2,360万円 | 74.8% |
中古戸建 | 2,130万円 | 72.0% |
頭金(自己資金)の平均額
頭金の平均額と購入価格に対する割合は以下の通りです:
💰 頭金の実態
- 新築物件:購入価格の15~20%(600~1,000万円)
- 中古物件:購入価格の25~30%(600~800万円)
- 全体平均:約880万円
フルローンの実態
最近は頭金なしの「フルローン」を利用する人も増えています:
- フルローン利用率:約15%
- 頭金10%未満:約25%
- 頭金10~20%:約40%(最多)
- 頭金20%以上:約20%
年齢・返済期間の平均データ
住宅購入時の平均年齢
住宅ローンを組む人の平均年齢は41.1歳です。年代別の分布は以下の通り:
年代 | 割合 | 特徴 |
---|---|---|
20代 | 11.2% | 早期購入派・親の援助あり |
30代 | 38.5% | 最多層・子育て世代 |
40代 | 26.7% | 買い替え・グレードアップ |
50代 | 16.8% | 終の棲家・老後準備 |
60代以上 | 6.8% | リタイア後の住み替え |
返済期間の平均
住宅ローンの平均返済期間は32.2年です。物件種別では:
- 注文住宅(土地付き):34.5年(最長)
- 新築マンション:32.8年
- 建売住宅:32.7年
- 中古マンション:29.7年
- 中古戸建:26.2年(最短)
完済時年齢の実態
平均購入年齢41歳+平均返済期間32年=完済時年齢73歳
これは定年退職後も返済が続くことを意味します。実際のデータ:
- 60歳までに完済:18%
- 65歳までに完済:42%
- 70歳までに完済:71%
- 75歳までに完済:89%
- 80歳までに完済:100%
🎯 年齢別の住宅購入アドバイス
20~30代:長期ローンで月々の負担を軽減。繰り上げ返済を活用
40代:完済時年齢を意識。頭金を多めに準備
50代以上:退職金での一括返済を計画。リバースモーゲージも検討
地域別の返済額の違い
三大都市圏vs地方の差
地域によって住宅価格が大きく異なるため、返済額にも差が生じます:
地域 | 月々の平均返済額 | 年間返済額 | 平均購入価格 |
---|---|---|---|
東京都 | 16.8万円 | 202万円 | 6,230万円 |
大阪府 | 13.5万円 | 162万円 | 4,980万円 |
愛知県 | 12.3万円 | 148万円 | 4,520万円 |
全国平均 | 11.7万円 | 140万円 | 4,280万円 |
地方都市 | 9.8万円 | 118万円 | 3,540万円 |
都道府県別ランキング(上位・下位5県)
📊 月々返済額が高い都道府県TOP5
- 東京都:16.8万円
- 神奈川県:14.2万円
- 大阪府:13.5万円
- 埼玉県:12.8万円
- 千葉県:12.5万円
📊 月々返済額が低い都道府県TOP5
- 鳥取県:7.2万円
- 島根県:7.5万円
- 秋田県:7.8万円
- 青森県:8.0万円
- 山形県:8.2万円
無理のない返済額の決め方
STEP1:現在の家賃から逆算する
最も簡単な方法は、現在支払っている家賃を基準にすることです。
計算式
返済可能額 = 現在の家賃 + 住宅購入のための貯蓄額 - 新たに発生する費用
【新たに発生する費用】
- 固定資産税:年10~20万円
- 管理費・修繕積立金(マンション):月2~3万円
- 火災保険:年2~5万円
STEP2:手取り収入から計算する
より正確に計算したい場合は、手取り収入を基準にします。
手取り月収 | 理想的な返済額 (手取りの25%) |
上限の返済額 (手取りの30%) |
---|---|---|
20万円 | 5万円 | 6万円 |
25万円 | 6.3万円 | 7.5万円 |
30万円 | 7.5万円 | 9万円 |
35万円 | 8.8万円 | 10.5万円 |
40万円 | 10万円 | 12万円 |
50万円 | 12.5万円 | 15万円 |
STEP3:ライフプランを考慮する
将来の支出増を見込んで、余裕を持った返済計画を立てましょう:
✅ チェックリスト
- □ 子どもの教育費(1人あたり1,000~2,000万円)
- □ 車の買い替え(10年ごとに200~400万円)
- □ リフォーム費用(15年ごとに200~500万円)
- □ 老後資金(2,000~3,000万円)
- □ 緊急予備資金(生活費6ヶ月分)
年収別返済シミュレーション
実際に年収別で、どれくらいの物件が購入可能か、具体的にシミュレーションしてみましょう。
年収400万円のケース
👤 プロフィール
- 年収:400万円(手取り約320万円)
- 年齢:32歳
- 頭金:300万円
📊 シミュレーション結果
適正な返済額 | 月8.3万円(返済負担率25%) |
借入可能額 | 約2,800万円 |
購入可能価格 | 約3,100万円(頭金込み) |
返済期間 | 35年 |
完済時年齢 | 67歳 |
💡 アドバイス
中古マンションや郊外の建売住宅が現実的。共働きなら収入合算も検討を。
年収600万円のケース
👤 プロフィール
- 年収:600万円(手取り約460万円)
- 年齢:35歳
- 頭金:500万円
📊 シミュレーション結果
適正な返済額 | 月12.5万円(返済負担率25%) |
借入可能額 | 約4,200万円 |
購入可能価格 | 約4,700万円(頭金込み) |
返済期間 | 35年 |
完済時年齢 | 70歳 |
💡 アドバイス
新築マンションや注文住宅も視野に。退職金での繰り上げ返済を計画的に。
年収800万円のケース
👤 プロフィール
- 年収:800万円(手取り約600万円)
- 年齢:38歳
- 頭金:800万円
📊 シミュレーション結果
適正な返済額 | 月16.7万円(返済負担率25%) |
借入可能額 | 約5,600万円 |
購入可能価格 | 約6,400万円(頭金込み) |
返済期間 | 35年 |
完済時年齢 | 73歳 |
💡 アドバイス
都心部の新築マンションも可能。ただし維持費も考慮し、返済負担率は抑えめに。
住宅ローンを組む際の注意点
1. 借りられる額≠返せる額
金融機関が「借入可能」と判断した額が、必ずしもあなたにとって「無理なく返済できる額」とは限りません。
⚠️ よくある失敗パターン
- 銀行の借入可能額MAXで借りてしまう
- 現在の収入だけで判断してしまう
- 将来の支出増を考慮していない
- 金利上昇リスクを軽視している
2. 諸費用を忘れずに
物件価格以外にも、以下の諸費用がかかります:
費用項目 | 新築の場合 | 中古の場合 |
---|---|---|
仲介手数料 | なし(建売除く) | 物件価格の3%+6万円 |
登記費用 | 30~50万円 | 30~50万円 |
ローン事務手数料 | 借入額の2.2% | 借入額の2.2% |
印紙税 | 2~6万円 | 2~6万円 |
火災保険 | 20~40万円 | 20~40万円 |
合計目安 | 物件価格の5~7% | 物件価格の7~10% |
3. 金利タイプの選び方
2025年現在、日銀の利上げにより金利環境が変化しています。
金利タイプ別の特徴
金利タイプ | 2025年8月の相場 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
変動金利 | 0.3~0.9% | 金利が最も低い | 金利上昇リスクあり |
固定10年 | 1.2~1.8% | 一定期間金利固定 | 10年後に金利見直し |
全期間固定 | 1.8~2.3% | 完済まで金利一定 | 金利が最も高い |
選び方の目安
- 変動金利向き:余裕資金がある、繰り上げ返済可能、金利動向をチェックできる人
- 固定金利向き:安定志向、返済額を固定したい、金利上昇が心配な人
4. 夫婦で組む場合の注意点
共働き夫婦の場合、ペアローンや収入合算という選択肢があります。
方法 | 特徴 | 注意点 |
---|---|---|
ペアローン | 夫婦それぞれがローンを組む | 諸費用が2倍、両方の審査が必要 |
収入合算(連帯債務) | 夫婦の収入を合算して借入 | 両方が返済義務を負う |
収入合算(連帯保証) | 片方が主債務者、片方が保証人 | 住宅ローン控除は主債務者のみ |
5. 年齢による借入戦略
20代
- 長期ローンで月々の負担を軽減
- 昇給を見込んで繰り上げ返済計画を立てる
- 親からの援助(住宅取得資金贈与の非課税枠)を活用
30代
- 子育て費用を考慮した返済計画
- 教育費のピーク(40代後半)に備える
- 共働きなら収入合算も検討
40代
- 完済時年齢を意識(75歳以下が理想)
- 退職金での一括返済を計画
- 返済期間は短めに設定
50代以上
- 頭金を多めに準備(退職金の前借りも検討)
- リバースモーゲージも選択肢に
- 老後の生活費を確保した上で借入
よくある質問
Q1. みんな本当に平均通りの金額を払っているの?
A. 平均値はあくまで目安です。実際には、年収や地域、ライフスタイルによって大きく異なります。大切なのは「みんながいくら払っているか」ではなく、「自分が無理なく払える額」を把握することです。
Q2. 賃貸と比べてお得なの?
A. 単純な月々の支払い額だけで比較すると、賃貸の方が安い場合も多いです。しかし、住宅購入には以下のメリットがあります:
- 資産として残る
- 老後の住居費負担が軽減
- 住宅ローン控除などの税制優遇
- 自由にリフォーム可能
Q3. 頭金なしでも大丈夫?
A. フルローンも可能ですが、以下のデメリットがあります:
- 金利が高くなる場合がある
- 総返済額が増える
- 売却時に残債が残るリスク
理想は物件価格の10~20%の頭金を準備することです。
Q4. ボーナス返済は利用すべき?
A. ボーナスが安定している会社員なら検討の価値ありです。ただし:
- ボーナスカットのリスクを考慮
- 借入総額の30%以下に抑える
- 月々の返済だけでも生活できる計画を
Q5. 繰り上げ返済はした方がいい?
A. 基本的にはメリットが大きいです:
- 総返済額が減る
- 返済期間が短縮できる
- 金利負担が軽減
ただし、住宅ローン控除期間中(10~13年)は、控除額と金利を比較して判断しましょう。
Q6. 金利が上がったらどうなる?
A. 変動金利の場合、金利が1%上昇すると:
借入額3,000万円 | 月々約1.5万円増加 |
借入額4,000万円 | 月々約2万円増加 |
借入額5,000万円 | 月々約2.5万円増加 |
金利上昇に備えて、返済負担率は余裕を持って設定しましょう。
まとめ:あなたに最適な返済額を見つけよう
住宅ローンの返済額について、様々なデータをご紹介してきました。最後に、重要なポイントをまとめます。
📌 押さえておくべき5つのポイント
- 平均返済額は月11.7万円
- ただし物件種別・地域で大きく異なる
- 新築マンション:14.8万円、中古戸建:8.3万円
- 返済負担率は25%以下が理想
- 全国平均は23.4%
- 35%は上限値、実際はきつい
- 平均借入額は約3,800万円
- 頭金は購入価格の15~20%が一般的
- フルローン利用者は約15%
- 完済時年齢は平均73歳
- 購入年齢41歳+返済期間32年
- 退職後の返済計画が重要
- 地域差は最大2倍以上
- 東京:月16.8万円 vs 地方:月8万円前後
- 居住地域の相場を確認
最後に:「みんな」ではなく「あなた」基準で
確かに「みんながいくら払っているか」を知ることは、一つの目安として重要です。しかし、最も大切なのは「あなたが無理なく返済できる額」を見極めることです。
平均値に惑わされず、以下の点を考慮して、あなたに最適な返済計画を立てましょう:
- 現在の収入と将来の収入見込み
- 家族構成とライフプラン
- 教育費や老後資金の準備
- 金利上昇リスクへの対応力
- 緊急時の予備資金
住宅購入は人生最大の買い物です。焦らず、じっくりと検討して、後悔のない選択をしてください。
🏠 次のステップ
- 家計の見直し:現在の収支を正確に把握
- シミュレーション:複数の銀行で借入可能額を確認
- 物件探し:予算内で最適な物件を探す
- 専門家に相談:FPや住宅ローンアドバイザーに相談
この記事が、あなたの住宅購入の参考になれば幸いです。無理のない返済計画で、素敵なマイホームライフを実現してください!