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再建築不可物件は売却できる?相場より安くなる理由と高く売る5つの方法【買取と仲介の使い分け】

最終更新日:2026年7月14日(公開時点・更新時点の情報に基づきます)

「再建築不可物件は売れないのでは」「売るとしても二束三文になるのでは」と不安に感じている方は少なくありません。実際、再建築不可物件は一般的な戸建てに比べて売却価格が下がりやすく、買い手も限られる傾向があります。ただし、これは「売れない」ということと同じ意味ではありません。物件の接道状況によっては再建築可能になる余地があったり、隣地所有者への打診が思わぬ高値につながったりするケースもあります。この記事では、再建築不可物件が安くなる構造的な理由を整理したうえで、売却価格を少しでも上げるための具体的な方法と、仲介で粘るか専門の買取業者に任せるかを判断するための考え方をまとめます。

この記事の結論

再建築不可物件は、建物を建て替えられないという制約があるため、住宅ローンが付きにくく、購入できる相手が現金購入者や投資家、リフォーム前提の買主に限られやすい構造になっています。この構造のせいで、一般的な仲介市場での売却価格は周辺相場より低くなりがちです。ただし、隣地所有者への打診、43条但し書き道路の可能性の確認、リフォームして賃貸中に売却する方法など、価格を上げる余地は複数あります。時間をかけて仲介で買主を探せる状況なら仲介、早期の現金化や再建築不可物件の取り扱いに慣れた買主を求めるなら専門買取という使い分けが基本の考え方になります。

再建築不可物件とは何か:接道義務との関係を図解で理解する

再建築不可物件とは、現在建っている建物を解体した場合に、新たに建物を建てることができない土地のことを指します。この制約の多くは、建築基準法第43条が定める「接道義務」に関わっています。国土交通省の資料によると、接道義務とは、建築物の敷地が原則として幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならないというルールです。

この基準を満たしていない土地、たとえば道路に接する部分の幅が2m未満だったり、接している道が建築基準法上の「道路」として認められていない私道や通路だったりする場合、その土地には新たに建物を建てることができません。すでに建っている建物はそのまま住み続けることができますが、解体して建て替えることはできない、というのが再建築不可物件の基本的な構造です。旗竿地の一部や、昔からの狭い路地に接した土地、都市部の古い住宅密集地などで見られることが多くなっています。

なぜ相場より安くなるのか:買い手が限られる構造

再建築不可物件が周辺相場より安くなりやすい最大の理由は、購入できる層が限られることにあります。まず、多くの金融機関にとって、再建築不可物件は担保としての評価が低くなります。建て替えができない、つまり将来的に建物の資産価値がゼロに近づいていく一方で土地の活用余地も限られるため、住宅ローンの担保としてはリスクが高いと判断されやすく、住宅ローンそのものが付きにくい、あるいは融資額が低く抑えられる傾向があります。

住宅ローンが使いにくいということは、購入できる人が実質的に「現金で購入できる人」「リフォームローンや不動産投資向けのローンを使える投資家」「相場より安く不動産を買って再販・賃貸に回す専門業者」といった層に絞られてしまうことを意味します。一般的な子育て世帯が「マイホームとして」検討する対象から外れやすいため、需要そのものが少なく、これが価格を押し下げる構造になっています。加えて、リフォーム一体型の住宅ローンが使えないケースが多いことも、購入後の資金計画のハードルを上げる要因になっています。

注意点

住宅ローンが「まったく使えない」と断定することはできません。金融機関や物件の個別状況(接道状況、建物の状態、購入者の属性など)によって対応が異なるため、実際に住宅ローンが使えるかどうかは、購入希望者が金融機関に個別に確認する必要があります。

高く売るための5つの方法

1.隣地所有者への打診を検討する

再建築不可物件の売却において、実務上もっとも高値がつきやすいのは、隣地の所有者への売却です。隣地の所有者にとっては、自分の土地と合わせることで敷地形状が改善し、将来的な建て替えや資産価値の向上につながる可能性があるため、一般の買主よりも高い価格を提示してもらえる場合があります。特に、隣地と合わせることで接道義務を満たす形になったり、より使いやすい敷地形状になったりするケースでは、隣地所有者にとっての価値が大きく上がるため、交渉次第で相場を上回る条件が得られることがあります。

打診の際は、いきなり価格の話から入るのではなく、まずは売却を検討している事実を伝え、関心があるかどうかを確認する段階を踏むのが基本です。たとえば「このたび自宅の売却を検討しており、お隣にお声がけするのが良いと考えご連絡しました。ご興味があればご都合の良い時期に一度お話しできればと思います」といった形で、押し付けにならない伝え方を心がけると、関係を損なわずに検討してもらいやすくなります。断られた場合でも、その後の一般的な売却活動に支障が出ないよう、返答を急かさない姿勢も大切です。

2.43条但し書き道路の可能性を確認する

接道している道が建築基準法上の道路ではない場合でも、建築基準法第43条第2項に基づく「43条但し書き(43条2項2号)」の許可や認定を得られれば、再建築が可能になるケースがあります。これは、幅員4m以上の公共の道などに一定の条件で接している場合に、特定行政庁の許可や認定を受けることで再建築を可能にする制度です。この制度が使える可能性がある物件は、再建築不可のままの物件よりも価値が上がる場合があるため、売却前に自治体の建築指導課などに現況を確認しておく価値があります。ただし、許可・認定を受けられるかどうかは自治体の判断によるため、確実に再建築可能になるとは限りません。制度の詳細や個別の物件が対象になるかどうかは、自治体の窓口や建築士など専門家に確認することをおすすめします。

3.リフォームして賃貸中に売却する(オーナーチェンジ)

建物の状態が悪いまま売却するよりも、最低限のリフォームを行って賃貸に出し、入居者がいる状態(オーナーチェンジ)で売却するという方法もあります。投資家層にとっては、すでに賃料収入が発生している物件は、購入後すぐに収益化できる点で魅力があり、空き家の状態で売るよりも高い価格での取引につながる場合があります。ただし、リフォームにかけた費用を売却価格に上乗せできるとは限らないため、リフォーム費用と見込まれる価格上昇分を事前に比較し、割に合うかどうかを検討する必要があります。

4.複数の買取業者・仲介会社から査定を取る

再建築不可物件は、通常の仲介会社では取り扱いに慣れておらず、適切な価格判断がされにくいことがあります。一方で、再建築不可物件の取り扱いに慣れた買取業者や仲介会社であれば、隣地への打診や43条但し書きの可能性など、価格を上げる余地を踏まえた提案をしてくれる場合があります。1社だけの査定で判断すると、本来もっと高く売れる可能性を見落としてしまうことがあるため、複数の会社に査定を依頼し、提示価格と提案内容を比較することが基本になります。

5.測量・境界確定を済ませておく

再建築不可物件は敷地の形状が特殊なケースが多く、境界が不明確なままでは買主側が購入を敬遠する要因になります。売却前に測量や境界確定を済ませておくことで、買主側の不安を減らし、交渉をスムーズに進めやすくなります。特に隣地所有者への打診を検討する場合は、境界が明確になっていることが交渉の前提条件になるため、優先して対応しておく価値があります。

【独自チェック】接道状況別の選択肢マップ

自分の物件がどのパターンに当たるかによって、優先すべき対策の順番が変わります。以下は、接道状況ごとに検討すべき選択肢を整理したものです。あくまで一般的な傾向であり、実際の可否は自治体や個別の敷地条件によって異なります。

接道状況 優先して確認すべきこと 価格を上げやすい方法
幅員4m以上の公共の道に接しているが、道路幅の一部が足りない 43条但し書きの許可・認定の可能性 自治体確認後、再建築可能物件として売却
私道に接しているが、接道の幅が2m未満 隣地との共有・買収による接道幅の確保 隣地所有者への打診
旗竿地で通路部分が極端に狭い 通路部分の隣地との調整余地 隣地所有者への打診、専門買取業者への相談
接道している道がそもそも建築基準法上の道路に該当しない 43条但し書きの対象になるかどうか 自治体確認、対象外なら専門買取を優先

仲介で粘るか、専門買取に任せるか:判断フロー

再建築不可物件の売却では、「時間をかけて高値を目指すか」「早期に現金化するか」という判断が必要になります。次のような視点で整理すると、方向性が見えやすくなります。

①隣地所有者に売却の可能性があるか確認する→関心がありそうなら、まず隣地への打診を優先する

②43条但し書きなど再建築可能になる余地がないか自治体に確認する→可能性があれば、再建築可能物件として仲介での売却を検討する

③上記の余地がなく、かつ数ヶ月〜半年程度の売却期間を確保できる場合→複数の仲介会社に査定を依頼し、時間をかけて買主を探す

④売却を急ぐ理由がある(残債の整理、相続税の支払い、空き家の維持費負担など)場合→再建築不可物件の取り扱いに慣れた専門の買取業者への相談を優先する

仲介で時間をかけられる状況であれば、隣地への打診や43条但し書きの確認といった価格を上げる余地を探る価値がありますが、固定資産税や維持管理費用が発生し続けることも踏まえて、売却期間の見通しを立てておく必要があります。売却までに時間がかかりそうな場合の判断材料としては、家が3ヶ月売れない場合の原因と対処法も参考になります。

誤解しやすいポイント:建物が古いから安いわけではない

再建築不可物件の価格が安くなる理由を、「建物が古いから」だと考えている方も多いのですが、実際の主因は建物の古さではなく、前述の通り「建て替えができない」という土地の制約そのものです。極端な話、建物をどれだけリフォームしてきれいにしても、再建築不可という制約自体は変わらないため、価格に与える影響は限定的です。逆に言えば、建物がある程度古くても、土地の接道条件が改善する見込みがある場合は、建物の状態以上に価格が上がる可能性があるということでもあります。築年数が古い戸建ての売却全般については、築25年以上の戸建てを直さず売る判断基準もあわせて確認しておくと、リフォームすべきかどうかの判断がしやすくなります。

よくある失敗例

売却前に大きな費用をかけてリフォームしてしまい、再建築不可という制約のために価格にほとんど反映されず、リフォーム費用を回収できなかったというケースがあります。リフォームを検討する場合は、投資額に対してどの程度価格が上がる見込みがあるか、複数の査定を通じて事前に確認したうえで判断することが重要です。

相談する際の視点

再建築不可物件の売却相談では、一般的な仲介会社に相談するだけでなく、再建築不可物件や訳あり物件の取り扱い実績がある会社に相談することで、隣地への打診の進め方や43条但し書きの確認方法など、具体的な提案を受けられる可能性が高まります。相談時には、接道状況(道路の幅、接している道の種類)と隣地所有者との関係性を整理して伝えると、より的確なアドバイスを受けやすくなります。

再建築不可物件は、査定する会社によって提示価格や提案内容に差が出やすい物件です。隣地への打診が可能かどうか、43条但し書きの余地があるかどうかは、会社によって着眼点が異なるため、1社だけの査定で判断すると、本来得られたはずの価格を見逃してしまうことがあります。複数の会社から査定を取り、提案内容を比較することが、後悔のない売却につながります。

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FAQ

再建築不可物件は住宅ローンの残債があっても売却できますか
住宅ローンの残債があっても、売却価格で残債を完済できる、あるいは自己資金で不足分を補える場合は売却できます。売却価格が残債を下回る場合は、金融機関との相談によって対応方法が変わるため、事前に残債の状況を確認しておくことが必要です。詳しい進め方は住宅ローン残債ありでも家は売れるのかで整理しています。
隣地所有者に打診しても断られた場合、その後の売却活動に影響はありますか
打診自体が近隣トラブルに直結するものではなく、断られたからといって一般の仲介市場での売却が不利になるわけではありません。ただし、打診の伝え方によっては関係性に影響する可能性があるため、価格交渉のような伝え方を避け、あくまで検討をお願いする形で進めることが望ましいとされています。
43条但し書きの許可を取れば、必ず再建築可能になりますか
43条但し書き(43条2項2号)の許可や認定は、道路の状況や敷地の条件が一定の基準を満たす場合に、特定行政庁の判断によって認められる制度です。すべての再建築不可物件が対象になるわけではなく、審査の結果、許可・認定を受けられない場合もあります。対象になるかどうかは、自治体の建築指導課などへの事前確認が必要です。
専門の買取業者に売却すると、仲介より価格が大きく下がりますか
買取は仲介に比べて価格が下がる傾向があるのは事実ですが、それは買取業者が再販や賃貸活用を前提にリスクを見込んで価格を提示するためです。一方で、仲介では買主が見つからず売却期間が長期化し、その間の固定資産税や維持費用がかさむこともあるため、単純に「買取は安い、仲介は高い」と決めつけず、期間と費用の両面で比較することが大切です。

まとめ

再建築不可物件は、接道義務を満たしていないために住宅ローンが付きにくく、購入できる層が現金購入者や投資家に限られやすいという構造上の理由から、相場より価格が下がりやすい物件です。ただし、これは売却そのものが難しいということとは違います。隣地所有者への打診、43条但し書き道路の可能性の確認、リフォームして賃貸中に売却する方法など、価格を上げる余地は複数存在します。売却を急ぐ理由があるかどうか、時間をかけて買主を探せる状況かどうかを踏まえて、仲介で粘るか専門の買取業者に相談するかを判断し、複数の会社の査定・提案を比較しながら進めていくことが、後悔のない売却につながります。

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