
仮審査・本審査で「見送り」「否決」と言われた瞬間、頭が真っ白になりますよね。ですが、やるべき順番は決まっています。いちど呼吸を整えて、原因を素早く特定し、次の一手を打ちましょう。本記事は、審査に通らない時の“現実的な逆転手順”を、原因別に具体的にまとめました。印刷して使えるチェックリスト、再申込スケジュール、担当者への文例も載せています。
この記事の対象
- 「仮審査に落ちた。次はどうする?」という方
- カードローン・リボ・自動車ローンなど借入があり不安な方
- 転職直後・育休・非正規・自営業など属性に不安がある方
- 物件評価や団信(健康告知)で詰まりそうな方
先に大事なことだけ。“同時に何社も申し込む”のは逆効果になりやすいです。まず原因を絞り込み、通過確度の高い一手を選びましょう。
最短で動くための結論(48時間でやること)
- 同時申込を止める(申込情報は約6か月、信用情報に残ります)
- スケジュールの確保(売買契約済みなら、まず不動産会社へローン特約の延長相談)
- 信用情報を取り寄せる(CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センターの3機関)
この3つを終えて、状況に応じて「返済比率の改善」「属性を補強する書類の準備」「商品・申込先の見直し」に移ります。
原因はこの5分類で見つかります
住宅ローンの審査で“通らない”主因は、概ね次の5つに集約されます。
- 信用情報(延滞・異動・申込多過ぎ・債務整理・税公金滞納 など)
- 返済負担率(DTI)(年収に対して月返済が重い、審査金利で超過)
- 属性・勤務(勤続年数、雇用形態、転職直後、収入の安定性)
- 物件・担保評価(再建築不可、借地権、築古で評価が出ない 等)
- 団信(健康告知)(告知内容で引受不可、追加保障の選択ミス)
40項目でサッと自己チェック(印刷推奨)
当てはまる項目にチェックを入れてください。○が多い分類が、優先対処すべき原因です。
1) 信用情報
- 直近のクレカ・携帯料金で61日以上の延滞があった
- カードローン/リボ残高がある(もしくは利用枠が大きい)
- 自動車ローン・教育ローンの返済が残っている
- 税金・健康保険料の滞納があった(督促状・差押予告等)
- ここ3か月で複数社に申込をした
- 任意整理・個人再生・自己破産の履歴がある
- 過去に強制解約/代位弁済があった
2) 返済負担率(DTI)
- 希望額で計算すると総返済負担率が30〜35%超になりそう
- ボーナス返済前提で組もうとしている
- 審査金利(店頭より高めで設定)での試算をしていない
- 配偶者の収入合算前提だが、安定性に不安がある
3) 属性・勤務
- 転職から1年未満、もしくは試用期間中
- 派遣・契約社員・パート等で、就業期間が短い
- 自営業・フリーランスで、確定申告の所得が低い/赤字年がある
- 育休・産休・時短で手取りが落ちている
- 外国籍で在留期間が短い/永住許可がない
4) 物件・担保
- 再建築不可/セットバック必要/43条但し書き道路
- 極端な旗竿地・無道路地・敷地延長で接道が厳しい
- 築古(特に設備更新の遅れ・団地・エレベーターなしなど)
- 借地権/地上権/底地など権利関係が複雑
- 価格に対して路線価・固定資産評価が低い
5) 団信
- 過去数年の通院・投薬歴があるが、どこまで告知すべきか迷っている
- 健康診断で要再検査/経過観察を指摘された
- 就業不能保障やワイド団信の選択で悩んでいる
直近1〜3日でやること(必ずやる)
1. 同時申込を止める(申込情報は約6か月残る)
短期間に多くの申込みが並ぶと、「資金繰りに問題があるのでは?」と見られてマイナスです。否決直後に闇雲に増やすのはNG。次の申込は、原因が潰れてから、相性の良い1〜2行に絞りましょう。
2. 売買契約済なら、ローン特約の延長を打診
期日に間に合わないと契約が危うくなるため、まず不動産会社に事情説明を。以下、メール文例です。
件名:ローン特約期日の延長のお願い(◯◯市◯◯様邸) ◯◯不動産 ◯◯様 お世話になっております。買主の◯◯です。 本日、第一申込先より審査見送りの連絡がありました。原因は◯◯(例:自動車ローンの残債による返済比率)で、◯日までに完済予定です。完了後、別行にて再申込を行います。 つきましては、ローン特約期日を◯月◯日まで延長いただけないか、売主様にご相談いただけますでしょうか。 ご迷惑をおかけしますが、何卒よろしくお願いいたします。
3. 信用情報を取り寄せる(3機関)
「感覚」ではなく「事実」で判断するために、CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センター(KSC)を開示します。
- CIC(クレジット・携帯・リボ・割賦中心)…公式サイト(スマホ/PCで即日開示可)
- JICC(消費者金融・カードローン中心)…公式サイト(アプリ/郵送/窓口)
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC:銀行・保証会社)…公式サイト(原則郵送)
ポイント
- 延滞・異動:61日以上(または3か月以上)の延滞や代位弁済等は5年程度記録(CIC/JICC)。破産等の官報情報はKSCで最長10年程度保有。
- 申込情報:各機関で6か月程度保有。
- 反映タイミング:完済や限度枠変更は、記録反映に数日〜1か月程度かかることがあります。
1〜2週間でやること(返済比率と“見え方”を整える)
返済負担率(DTI)を現実的に下げる
審査は「店頭金利」ではなく、各行が設定する審査金利(変動でも高め)で計算されます。おおまかな目安は次の通りです。
- 総返済負担率の目安:30〜35%(年収や商品により異なる)
- 既存借入(カードローン・自動車ローン・リボ・奨学金等)はすべて合算
簡易計算(概算)
総返済負担率 =(新規住宅ローンの年間返済額+既存借入の年間返済額)÷ 年収
「どれを先に返すか」で通過率が変わります。おすすめの優先順位は次の通りです(“審査で効く順”)。
- 自動車ローンなど毎月返済が大きい借入(DTIに直撃)
- リボ・カードローン(残高/枠ともにマイナス。枠の縮小も効果)
- クレカのキャッシング枠(0円に変更)
- 携帯端末の分割など小口の割賦(可能なら完済)
注意:
- 完済後は解約証明・完済証明を準備。審査に添付できると反映前でも説明しやすい。
- 「住宅ローンに他の借金をまとめる」は原則困難。購入前に整理するのが基本です。
属性・勤務を補強する書類を用意
同じ年収でも、「継続・安定の根拠」を示せるかで評価が変わります。状況別に用意したいものをまとめます。
転職1年未満・試用期間中
- 内定通知/雇用契約書(年収・雇用形態・試用期間の明記)
- 直近の給与明細(できれば3か月)
- 同業転職なら実績・資格の写し
派遣・契約社員・パート
- 直近の更新履歴(更新通知書)
- 社会保険加入を確認できる書類
- 給与明細・源泉徴収票
自営業・フリーランス
- 確定申告書一式・青色申告決算書(少なくとも直近2〜3期)
- 業務の継続性が分かる契約書・入金明細
- 経費の一時的増加要因があれば説明書き
育休・産休・時短
- 復職予定証明(会社の証明書・上長の記載)
- 復職後の就業形態・時短の有無
外国籍
- 在留カード(残存期間・在留資格)
- 就労ビザ/配偶者ビザの写し
- 永住予定の有無、連帯保証の可否
物件・担保で詰まった場合の打ち手
- 評価不足:頭金を増やす、借入額を下げる、別担保の検討
- 再建築不可・旗竿地・借地権:対応可能な金融機関に切替(地域の地銀・信金が対応するケースあり)
- 築古マンション・団地:耐震・配管更新・管理体制などの資料を揃えて評価を補強
団信(健康告知)の壁を越える
- 病名・通院歴は客観的に(診断名、治療期間、投薬の有無)
- 健康診断の結果を添付できるとプラス
- ワイド団信や特約のある商品に切替える選択肢も
商品・申込先の見直し(相性で選ぶ)
「緩い・厳しい」という言い方より、自分の弱点との相性で選ぶのが現実的です。
- 返済比率がギリギリ:審査金利や返済負担率の取り扱いに余地がある地銀/信金、フラット35も検討(年収条件により総返済負担率の上限が異なる)。
- 属性が弱い(転職直後・非正規・自営):直近の実績・契約情報で補強できる銀行を選ぶ。ネット系はスコア型でスピードは速いが、融通は利きにくいことが多い。
- 団信が不安:ワイド団信の選択肢がある商品、もしくは団信加入任意のフラット35+別途保険の組み合わせ。
- 物件が特殊:地域の取扱い実績がある金融機関の方が通りやすいことがある。
比較は「金利・手数料」だけでなく、審査金利・返済負担率の基準・付帯条件まで必ず確認しましょう。
再申込のルール(やってはいけないこと/やること)
再申込までの目安
- 原因を潰してから(完済・枠縮小・書類準備が先)
- 信用情報の更新を待つ必要がある場合は1〜4週間程度が目安
- 同じ銀行への再申込は、事情変化(完済・年収確定・物件変更など)がない限り時期を置く
否決直後のNG行動
- 焦って一斉申込をする
- 入出金をぐちゃぐちゃに動かす(説明不能の大きな振替は避ける)
- 金消契約直前に新規借入・クレカ増枠をする
担当者への説明は「事実+対処」で
審査部が知りたいのは「何が原因で、どう改善したか」です。例:
例:「自動車ローン(毎月3.2万円)を◯月◯日に完済し、完済証明を添付します。 クレジットカードのキャッシング枠は0円に変更済みです。」
ケース別の通し方(再現性のあるパターン)
借入が多い人(カードローン・リボ・自動車)
- 月返済が大きい借入を先に完済(自動車ローンなど)
- カードローンは残高の完済+限度枠の引き下げまでやる
- 完済証明・利用枠変更のスクショ等、証跡を添付
携帯・クレカの延滞がある人
- 未払いは即日入金、領収を保管
- 延滞・異動の記録は一定期間残るため、商品切り替え(フラット35や別時期の再挑戦)も検討
転職1年未満・試用期間
- 同業・年収上がりの転職は説明がしやすい
- 年収見込が明確な書面(雇用契約・給与明細)で補強
自営業・フリーランス
- 申告所得が基準。経費の出し過ぎは不利
- 赤字年がある場合、フラット35での対応を含め選択肢を広げる
団信が不安(持病・通院歴あり)
- 告知は正確に。未告知は契約解除リスク
- ワイド団信や発症部位に応じたオプションを検討
物件が理由で通らない
- 評価の出やすい物件へ見直す/頭金を増やす
- 地域の金融機関・実績のある仲介を活用
提出書類チェックリスト(属性別・保存用)
審査スピードと通過率は、書類漏れで落ちます。以下は最低限。
共通
- 本人確認(運転免許証等)
- 健康保険証
- 住民票・印鑑証明
- 源泉徴収票 or 確定申告書
- 所得・課税証明書
- 既存借入の返済予定表・残高証明
給与所得者
- 給与明細(直近3か月)
- 在籍確認が難しい場合、在籍証明書(会社総務で発行)
自営業
- 確定申告書B・青色申告決算書(直近2〜3期)
- 納税証明書
物件関連
- 売買契約書一式
- 重要事項説明書
- 建築確認・検査済証(新築)/適合証明に必要な書類(フラット35)
よくある質問(FAQ)
Q. 仮審査に落ちても本審査で通ることはありますか?
A. ありますが、原因が異なる場合に限られます。属性が同じ・書類も同じなら結果は概ね同じです。原因を潰し、相性の良い商品に切り替えて再申込しましょう。
Q. 申込は何社まで同時にして良い?
A. 原則おすすめしません。申込情報は約6か月残ります。どうしても並行する場合でも、性格が違う2行程度までに。
Q. 延滞を解消したら、いつ記録は消えますか?
A. 「延滞の事実」は各機関で5年程度残ります。解消直後は更新反映まで時間差もあるため、完済/入金の証跡を添付して説明しましょう。
Q. 借金があっても家は買えますか?
A. 可能です。DTIの改善(自動車ローン完済・カードローン枠縮小)と、相性の良い金融機関選定で通るケースは多いです。
Q. 団信で引っかかりそうです。どうすれば?
A. 病名・治療経過を正確に整理し、ワイド団信や選べる特約のある商品を検討。主治医意見書や健康診断結果で補強します。
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否決の直後は、何をどう減らし、どこに出すかの判断が難しいもの。次の申込先3候補と提出書類リストを無料でご提案します。決済までのスケジュール設計(ローン特約の延長含む)もお手伝いします。
出典・参考(公式)
- CIC(指定信用情報機関):開示方法・保有期間
- JICC(指定信用情報機関):開示方法・保有期間
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC):官報情報の保有期間 等
- 住宅金融支援機構(フラット35):総返済負担率・技術基準・適合証明
本記事は一般的な情報提供を目的としています。審査基準・保有期間・運用は金融機関や時期により異なるため、最新の公式情報および各金融機関の案内をご確認ください。
この記事を使うコツ(保存版)
- このページとチェックリストを印刷し、担当者との打合せメモに使う
- 完済・枠変更の証跡(スクショ・完済証明)を「いつ」「何をしたか」とセットで保管
- 物件・決済スケジュールはローン特約の期日から逆算し、延長は早めに打診