
住宅ローンを組む際、多くの金融機関で加入が必須となる団体信用生命保険(団信)。高血圧で通院中の方や、降圧剤を服用している方の中には、「この状態で団信に入れるのか」「告知書に何を書けばいいのか分からない」と不安を感じている方が多くいます。血圧は自覚症状が出にくく、健康診断で指摘されて初めて服薬を始めたという人も少なくありません。この記事では、高血圧・降圧剤服用中の方が団信の告知でつまずきやすい点、告知書に書くべき情報の整理方法、コントロール状態を示すための準備、そして通常の団信で難しい場合の選択肢について、順番に整理していきます。
高血圧があっても、服薬でコントロールされていれば通常の団信に加入できるケースは多くあります。ただし、これは個々の症状・数値・合併症の有無によって引受判断が分かれるため、「高血圧なら通る」「高血圧だから通らない」といった一律の断定はできません。告知書の内容を正確に整理することが、結果的に判断をスムーズにする一番の準備になります。
団信の告知で「高血圧」が対象になる条件
団信の告知書では、直近数か月から数年以内の受診歴・服薬歴・検査結果などを問われる項目があり、その範囲内に高血圧の診断や治療が含まれていれば、告知の対象になります。具体的な告知対象期間は保険会社・金融機関によって設定が異なり、告知書ごとに明記されているため、必ず自分が記入する告知書の指示に従う必要があります。
告知が必要な期間や項目は、加入する団信の種類・保険会社によって異なります。この記事の内容は一般的な傾向を整理したものであり、実際の告知範囲は必ず告知書本体の記載を確認してください。
告知対象になりやすい状況としては、次のようなケースが挙げられます。
- 現在、降圧剤を服用している
- 過去数年以内に高血圧の診断を受け、経過観察や治療を受けている
- 健康診断で血圧の再検査・要治療の指摘を受けたことがある
- 高血圧に関連して他の検査(心電図・血液検査など)で異常を指摘されたことがある
「今は薬をやめているから関係ない」と自己判断して告知しないケースがありますが、告知書に記載された期間内に該当する事実があれば、原則として告知が必要です。告知漏れは、後から保険金が支払われないなどのトラブルにつながる可能性があるため、迷った場合は正直に記載し、必要であれば保険会社や金融機関の窓口に確認することが重要です。
【独自要素】告知書に書くべき情報の整理法
告知書の記入で迷いやすいのは、「どこまで詳しく書くべきか」という点です。医療の専門用語に慣れていないと、書き漏れや不正確な記載につながりやすくなります。以下の4項目を事前に整理しておくと、告知書への記入がスムーズになります。
1. 疾患名の正確な記載
「高血圧」だけでなく、診断書や診察券、薬の説明書に記載されている正式な病名(例:本態性高血圧症など)を確認しておきます。診断名は医師の記録に基づくものが最も正確なため、可能であれば診察券やお薬手帳に記載された病名をそのまま転記します。
2. 服薬内容(薬剤名・用量・服用期間)
降圧剤には多くの種類があり、薬剤名によって作用機序(血管を広げるタイプ、体内の水分量を調整するタイプなど)が異なります。告知書では薬剤名の記載を求められることが多いため、お薬手帳や薬局でもらう薬剤情報提供書を見ながら、正式な薬剤名(一般名または商品名)と、1日あたりの服用量、いつから服用しているかを整理しておくと記入がスムーズです。
3. 直近の血圧値
健康診断の結果表や、自宅での血圧測定記録がある場合は、直近の数値(上の血圧・下の血圧)を確認しておきます。日本高血圧学会のガイドラインでは、診察室血圧で140/90mmHg以上を高血圧の基準としていますが、この数値は治療の目安であり、団信の引受判断そのものを示すものではありません。あくまで自分の状態を客観的に説明するための材料として整理しておくとよいでしょう。
4. 合併症・関連症状の有無
高血圧単独の場合と、糖尿病・腎機能低下・心疾患などを合併している場合とでは、引受判断の材料が変わってきます。合併症がある場合はその治療状況も含めて整理し、ない場合も「特に指摘を受けていない」という事実を明確にしておくことが大切です。
告知書は「不安だから曖昧に書く」よりも、「事実を正確に、簡潔に書く」ことが重要です。数値や薬剤名を正確に記載できると、保険会社側も状況を判断しやすくなり、結果的に手続きがスムーズに進みやすくなります。
【独自要素】コントロール良好を示すための準備
高血圧の引受判断において重要視されやすいのは、「血圧が薬でどの程度コントロールされているか」という点です。診断名だけでなく、治療によって数値が安定しているかどうかが、判断材料の一つになると考えられます。ここでは、コントロール状態を示すために準備しておきたい資料を整理します。
| 準備する資料 | 確認できる内容 | 入手方法 |
|---|---|---|
| お薬手帳 | 服用中の薬剤名・用量・服用開始日の履歴 | 調剤薬局で発行・記録 |
| 直近の健康診断結果 | 血圧値・血液検査・尿検査などの数値 | 会社の健診・自治体の健診結果通知 |
| 自宅血圧記録 | 日常的な血圧の変動・安定度 | 家庭用血圧計での記録(手帳やアプリ) |
| 診断書(必要な場合) | 診断名・治療経過・合併症の有無 | 主治医に発行を依頼 |
これらの資料は、告知書の記入時に正確な情報を書くための参考になるだけでなく、保険会社から追加の診断書提出を求められた際にも役立ちます。特にお薬手帳は、薬剤名や服用開始時期を正確に記録できる唯一の資料といえるため、住宅ローンの検討を始めた時点で最新の状態にしておくことをおすすめします。
血圧が数値的に安定している期間が長いほど、告知書上でも状況を説明しやすくなります。健康診断や通院のタイミングが合えば、住宅ローンの申し込みを急ぎすぎず、直近の血圧値が安定した状態で告知に進めるよう調整することも一つの考え方です。
通常の団信で難しい場合の選択肢
告知内容によっては、通常の団信への加入が難しいと判断される場合があります。その場合でも、住宅ローン自体を組めなくなるわけではなく、いくつかの選択肢が存在します。
ワイド団信
通常の団信より加入条件を緩和した「ワイド団信」を取り扱っている金融機関があります。一般的に、通常の団信より保険料相当分の金利が高く設定される(上乗せ金利がかかる)ことが多く、上乗せ幅は金融機関によって異なります。通常団信で難しいと判断された場合の選択肢の一つとして、事前に取り扱いの有無を確認しておく価値があります。
フラット35(団信加入が任意のプラン)
住宅金融支援機構が扱う「フラット35」は、団信の加入が必須ではなく、団信に加入しない選択も可能な仕組みになっています。この場合、団信の保険料が発生しない一方で、万が一の際に住宅ローンが保険で完済される仕組みがなくなるため、別途の生命保険などで備えを検討する必要があります。制度の詳細は住宅金融支援機構(フラット35)の公式サイトで確認できます。
団信の保障内容が変わる可能性
持病がある状態で加入できたとしても、特定の疾病に関する保障が限定される特約付きの団信になる場合があります。保障範囲がどう変わるかは加入する団信の種類によって異なるため、契約前に必ず保障内容を確認することが必要です。この点は、借り換え時の団信の見え方にも共通する論点で、借り換えで団信はどうなる?保障が悪くなる5つのケースでも詳しく解説しています。
団信の引受判断は保険会社・金融機関ごとに基準が異なり、同じ告知内容でも結果が異なることがあります。一つの金融機関で難しいと判断された場合でも、別の金融機関やワイド団信、フラット35など他の選択肢が残っていることを覚えておくと、選択の幅が広がります。
【独自要素】状況別の選択肢マップ
高血圧・降圧剤服用中の方が住宅ローンを検討する際、自分の状況がどこに当てはまるかを整理すると、次に確認すべき先が見えやすくなります。
パターンA: 服薬でコントロールが安定し、合併症がない → 通常の団信での申し込みを検討し、告知書は正確な数値・薬剤名で記入する
パターンB: 服薬中だが数値が不安定、または合併症の指摘がある → 通常団信に加えてワイド団信の取り扱いがある金融機関も同時に確認する
パターンC: 通常団信・ワイド団信ともに難しいと判断された → フラット35など団信加入が任意のプランを検討し、別途の生命保険での備えも合わせて検討する
パターンD: 直近で診断・治療を始めたばかりで数値が安定していない → 主治医と相談しながら、数値が安定するタイミングを見て申し込み時期を調整することも一つの選択肢
どのパターンに当てはまるとしても、複数の金融機関を比較することで、団信の取り扱いや上乗せ金利の条件が異なることが分かり、選択肢を広げやすくなります。
よくある失敗例
失敗例1: 「以前飲んでいたが今はやめている」という理由で告知書に記載しなかったところ、告知対象期間に該当していたことが後から判明し、対応に時間がかかった。
失敗例2: 薬剤名を正確に把握しておらず「血圧の薬」としか書けず、追加の確認や診断書提出を求められ、審査期間が延びた。
失敗例3: 一つの金融機関で団信の加入が難しいと言われ、住宅ローン自体をあきらめてしまったが、実際は別の金融機関やフラット35という選択肢が残っていた。
相談前に整理しておきたいチェックリスト
- 診断名(正式な病名)を確認している
- 服用中の薬剤名・用量・服用開始時期をお薬手帳などで確認している
- 直近の血圧値・健康診断結果を手元に用意している
- 合併症の有無(糖尿病・腎機能・心疾患など)を確認している
- 通常団信以外の選択肢(ワイド団信・フラット35)についても情報を集めている
- 複数の金融機関で団信の取り扱いを比較する予定がある
高血圧の告知内容によって団信の引受判断や上乗せ金利の有無は金融機関ごとに異なるため、一つの窓口だけで判断せず、複数の金融機関の取り扱いを比較しておくことが、選択肢を狭めないための備えになります。事前審査の段階から団信の条件を含めて相談できるサービスを使うと、自分の状況に合った金融機関を見つけやすくなります。
※本サービスの利用には広告主(モゲチェック)へのプロモーションが含まれています。
よくある質問
血圧が正常値でも、過去に高血圧と診断されたことがあれば告知は必要ですか?
降圧剤の種類によって団信の判断は変わりますか?
健康診断の結果が出る前に住宅ローンを申し込んでもよいですか?
ワイド団信の上乗せ金利はどのくらいですか?
高血圧や降圧剤の服用は、団信の告知対象になる代表的な項目の一つですが、コントロールされている状態であれば通常の団信に加入できるケースも多くあります。告知書には疾患名・服薬内容・直近の血圧値・合併症の有無を正確に整理して記載することが、スムーズな手続きにつながります。お薬手帳や健康診断結果を事前に準備しておくと、告知内容の整理や追加確認への対応がしやすくなります。万が一通常団信での加入が難しい場合も、ワイド団信やフラット35など複数の選択肢が残っているため、一つの結果だけで判断せず、複数の金融機関を比較しながら進めることをおすすめします。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、団信の引受判断や告知内容の解釈を保証するものではありません。血圧の数値・治療内容・合併症の有無によって判断は個別に異なり、保険会社・金融機関ごとに基準が異なります。具体的な告知内容や治療状況については、主治医・金融機関・保険会社に必ず確認してください。
運営者情報
house-kurashi.com編集部(マイホーム購入・住宅ローン審査ナビ)
対応分野:住宅ローン審査・団体信用生命保険・借り換え・不動産購入
本記事作成にあたっては、住宅金融支援機構(フラット35)、日本高血圧学会の公表資料などを参考にしています。制度・引受基準・金利は変更される可能性があるため、必ず金融機関・保険会社の最新情報をご確認ください。個別の告知内容や治療状況については、主治医・金融機関・保険会社への相談をおすすめします。
最終更新日:2026年7月13日(本記事は公開時点・更新時点の情報に基づきます)



